How to get most out of Mendeley

Mendeleyで文献を探し整理し引用して参考文献リストを作成してみよう!

目次

メンデレー(Mendeley)とは何か?

メンデレー(Mendeley)とはウェブ上またはパソコンのデスクトップ上で英語論文の文献情報を管理できる英語文献管理 の無料ソフトウェアです。

メンデレー(Mendeley)は医学・科学系の英語論文の出版社であるエルゼビア(Elsevier)の子会社の製品で、同社の4,479のジャーナルや 31,825 の書籍を有するサイエンスダイレクト(ScienceDirect)と統合しており、メンデレー(Mendeley)を使うことでこれらのデータベースの文献が探せる点が魅力です。

他にも、EasyBibEndNoteZoteroRefWorksなど人気がある文献管理ソフトはいくつかありますが、メンデレー(Mendeley)は無料版でも2GBの容量が使える、SSN機能がある、WindowsやMacだけでなくLinuxにも対応しているなどの強みで今最も支持を集めている文献管理ソフトです。

私も使ってみましたが使い勝手が良いです。😊👍

メンデレー(Mendeley)で何が出来るのか?

  • 3千万以上の文献があるメンデレー(Mendeley)のデータベースで英語論文が探せインポートできる。
  • 自分が読んでいる文献に関連した英語論文も探せる。
  • 他の様々な英語論文のデータベースからも文献がインポートできる。
  • 英語論文執筆のために集めたPDFの文献やウェブ上の英語論文の文献情報を自身のライブラリーを作成し一括管理できる。
  • オンライン環境があればどこからでもアクセスし自分のライブラリー内の文献が読める。
  • 自分が集めた英語論文の文献のライブラリー内のPDFにハイライトや注釈を入れて共同研究者と共有できる。
  • Microsoft®ワードと連動させ英語論文執筆中、引用しながら自動的に参考文献リストの作成ができる。
  • 7,000以上の英語論文の参考文献リストのスタイル(例:AMAスタイルAPAスタイル)に対応している。

Mendeley活用法デモンストレーション動画

以下と同様の内容のデモンストレーションを動画でご覧いただけます。

タイムスタンプ(例:0:54) が貼ってありますのでそちらをクリックすると挑戦したい活用法へジャンプしてそこからご覧頂くこともできます。

動画の方がブログよりわかりやすいと思いますのでご興味がある方はご活用ください。

1. メンデレーデスクトップ (Mendeley Desktop)をインストールする 0:54

2. メンデレーウェブインポーター(Mendeley Web Importer)をインストールする 1:47

3. ワードプラグイン(Mendeley MS Word Plugin)をインストールする 3:02

4. 自分の文献ライブラリーを作成する 4:39

5. 研究題目ごとに文献を分類する 5:55

6. メンデレーの文献検索機能を使って文献を探す 6:57

7. ライブラリー内のPDFのジャーナル文献にハイライトや注釈を入れノートを残す 8:19

8. 注釈やノートを残したPDFのジャーナル文献を共同研究者と共有する 12:08

9. ウェブインポーターでウェブ上の情報を自分のライブラリーにインポートする 13:16

10. ワードで英語論文を書きながらMendeleyを使って引用する 18:11

11. APA第7版スタイルからAMA第11版スタイルに変更する 22:09

12. 英語論文の末尾に参考文献リストをMendeleyで自動作成する 24:21

メンデレー(Mendeley)のインストール方法と設定

(1) メンデレーデスクトップ (Mendeley Desktop)をインストールする。

  • Mendeley のホームページへ行きスクロールダウンしてDownload Mendeleyという赤いボタンをクリックする
  • “Download now for Windows”という青いボタンをクリックする。MacやLinuxをお使いの方はそれぞれのボタンをクリックする。
  • ダウンロードしている間にEメールとパスワードを登録してMendeleyのアカウントを作成する。

(2) メンデレーウェブインポーター(Mendeley Web Importer)をインストールする

  • ウェブインポーターを入手するとウェブ上の英語論文の文献情報を自身のライブラリーに追加できるようになります。
  • ダッシュボードのメニューの左から4番目にToolsという項目があるのでその項目の “Install Mendeley Web Importer”をクリックしてMendeleyのウェブインポーターをダウンロードして下さい。

(3) メンデレーMicrosoft®ワードプラグイン(Mendeley MS Word Plugin)をインストールする

  • メンデレーMicrosoft®ワードプラグインをインストールするとMicrosoft®ワードと連動させ英語論文執筆中、引用しながら自動的に参考文献リストの作成ができるようになります。
  • Toolsの項目に行き“Install Mendeley Cite for Microsoft Word”をクリックするとMiscrosoft の画面が出てきますので「今すぐ入手する」の青いボタンをクリックしてメンデレーMicrosoft®ワードプラグインをダウンロードします。

メンデレー(Mendeley)を使って自分の文献ライブラリーを作成する

(1) ドラッグ&ドロップで今あるPDFのジャーナル文献を自分のライブラリーに追加する

  • メンデレーのダッシュボードへ行く
  • パソコンのデスクトップからPDFのジャーナル文献をドラッグしダッシュボードにドロップする

(2) +ADD New →Files from computerをクリックしてPDFのジャーナル文献を自分のライブラリーに追加する

研究題目ごとに文献を分類する

ライブラリーに文献が追加できたら研究題目ごとにCollection名を付けて分類しておきましょう。

“New Collection”のタブをクリックして例えば“Energy Drinks”と入れて見ます。

そして今、アップロードしたPDFのジャーナル文献をクリックして

左下の”Organize”というボタンをクリックし “Add to collection”をクリックして “Energy Drinks”

青い “ADD”のボタンをクリックすると研究題目ごとにPDFのジャーナル文献が文献情報と共に整理できます。

メンデレーの文献検索機能を使って文献を探す

Mendeleyはサイエンスダイレクト(ScienceDirect)と統合されているのでジャーナル文献が探せます。

“Tools”へ行き“Search for articles online”をクリックすると検索ボックスが現れますからここへ皆様の研究の題目を入れて検索できます。

試しに “Energy drinks” と入れて見ましょう。すると”Energy drinks”に関連した様々な文献が現れますから気に入った文献があれば+Add to libraryをクリックして自分のライブラリーに追加することができます。

ライブラリー内のPDFのジャーナル文献にハイライトや注釈を入れノートを残す

メンデレーにご自身のライブラリーを作るとオンライン環境があればどこからでもアクセスしてご自分のライブラリーに集めた文献を読むことができます。

PDFをクリックすると文献情報が右側に現れますから “Read”というボタンをクリックして文献を読みます。

虫眼鏡+のアイコンをクリックすると文字が拡大できます。

鉛筆のアイコンをクリックすると蛍光ペンで文書にハイライトを入れることが出来ます。

ハイライトの色も8色の中から選んで好きな色に変えることができます。

また、注釈のアイコンをクリックすると注釈を入れることができます。

上部のNoteというボタンをクリックするとまず “Info”で文献情報、”Annotation”で先程入れた注釈、そして”Notebook”に自由に重要ポイントを書き残しておくことができます。

注釈やノートを残したPDFのジャーナル文献を共同研究者と共有する

メンデレーのダッシュボードの左下の“Private Groups”という項目の下の“New Group”とう項目をクリックすると好きなグループ名を入れてグループを作ることができます。

それでは試しに“Energy Drink Study Group”と入れてみましょう。

新しいグループ名が反映されるまでしばらくかかります。

以下の “Energy Drink Study Group”のように新しいグループ名が反映されたら右クリックをして一番上のManage Groupをクリックすると青色のInvite Membersというボタンが現れますからこちらをクリックして共同研究者の方のEメールアドレスを入れて共有します。

ウェブインポーターでウェブ上の情報を自分のライブラリーにインポートする

MeSHで見つけた文献情報などで必ずしもPDFがないものなどは先ほどインストールしたウェブインポーターを使ってオンラインから自分のライブラリーに文献情報を追加することができます。

インターライブラリーローンなどで図書館にリクエストして探してもらわなければPDFは手に入らないかも知れない文献でもメンデレーを使って文献情報をまず自分のライブラリーに保管しておくことができます。

以下の矢印で示されているメンデレーウェブインポーターをクリックすると右側に文献情報が現れますから適切な文献にチェックを入れてマイライブラリーに追加をクリックするとメンデレーの自分のライブラリーに文献情報が追加されます。

ワードで英語論文を書きながらMendeleyを使って引用する

ワードを開けて「挿入」のメニューをクリックし、「アドインを入手」の項目をクリックして「Officeアドイン」を開き “Mendeley Cite”を検索し青色の「追加」ボタンをクリックしてワードに追加する。

「続行」をクリックして “Mendeley Cite”のロゴが現れたらOKをクリックして“Mendeley Cite”のロゴをもう一度クリックしてMendeleyをワード上で起動させます。

引用したい場所にマウスのカーソルを合わせワードの右側に現れたMendeleyボックス内の引用したい文献にチェックマークを入れ、”Insert one citation”をクリックして引用する。

Richards and Smith (2015)のようにこれらの研究者が行った研究が皆様の研究の基盤となるほど重要であったなどの理由で著者名を挙げて引用したい場合は、右側のMendeleyボックス内の引用したい文献に同じようにチェックマークを入れ、 “Insert one citation”をクリックして “Edit Citation”という紺色のメニューが出てきたら “Mendeley override the citation”をクリックします。

(Richards & Smith, 2015)が出てきますから、これを Richards and Smith (2015)と修正し “Save changes”をクリックすると著者名を主語にして引用することが出来ます。

APA第7版スタイルからAMA第11版スタイルに変更する

右側のMendeleyボックスの “Citation Style”という項目をクリックするとCurrent Citation StyleはAmerican Psychological Association 7th edition styleになっていますが、American Medical Association 11th editionをクリックして青色の “Update citation style”をクリックすると AMA第11版スタイルに自動的に変わります。

英語論文の末尾に参考文献リストをMendeleyで自動作成する

右側のMendeleyボックスの “More”という項目をクリックし “Insert bibliography”をクリックします。

青色の “Continue”ボタンをクリックするとAMA第11版スタイルで参考文献リストが自動的に作成されます。

しかし、お気づきになった方もいらっしゃるかも知れませんが、この自動的に作成されたAMA第11版スタイルの参考文献リストの引用は100%完璧ではありません。

例えば、Journal of Psychopharmacologyというジャーナル名は米国国立医学図書館目録(National Library of Medicine [NLM]Catalog)の省略形の J Psychopharmacol. にしなければなりませんがそのようになっていません。

つまり、そういう細かいところは手動で修正しなければなりませんが、Mendeleyを使うとかなり便利になりますから英語論文執筆ブログなどを読まれて手動での引用方法を把握された上で、Mendeleyをご活用されるとよろしいかと存じます。

いかがでしたか?ご質問やご不明な点がございましたらお気軽にご連絡下さい。

AMA 11th Edition Style Quick Guide

医学英語論文を書くためのAMA (American Medical Association) 第11版スタイル簡易ガイド

目次

医学系の英語論文を執筆中でジャーナル投稿先がまだ決まっておらず、医学英語論文の基本的な引用方法や参考文献リストの作成スタイルに迷った場合はAMA第11版スタイルのマニュアル(AMA11th edition Manual of Style) を参照されることをお勧めします。

AMA スタイルはジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(Journal of the American Medical Association [JAMA])の編集者が1963年に考案し推奨している国際的に認められた医学英語論文の引用や参考文献作成のスタイルです。

現在のところ2020年3月に改訂された第11版が最新版です。

JAMAが発行している一連のジャーナル(例:JAMA Network Open)はもちろんInternational Journal of Surgical Pathologyなどの多くのジャーナルがAMA第11版スタイル(AMA11th edition style)を推奨しているので、目標ジャーナルの投稿規定によっては博士論文をこのスタイルで書いていればある程度の微調整をすれば投稿できます。

またCancers (basel)などある特定のスタイルを一貫して使用しているのであれば特にこのスタイルで投稿しなければならない規定がないジャーナルもたくさんあるのでその場合はAMA第11版スタイルを使用して英語論文を執筆していれば国際的に幅広く使用されるスタイルなので安心です。

このスタイルの詳細については図書館などに出向かれAMA第11版スタイルのマニュアルをご覧頂くのが一番ですが、1,227ページもある分厚いマニュアルですのでここでは皆様が医学英語論文執筆中に参照できる内容を簡単にご紹介させて頂きます。

看護学、心理学など英語論文のより一般的な執筆スタイルやその他の引用例に関しては『看護学、心理学などの英語論文を書くためのAPA (American Psychological Association)  第7版スタイル簡易ガイド』のページをご覧ください。

文書全体の基本的なフォーマット(雛形)

AMA第11版スタイルは特にフォントのスタイルなどに細かい規定を設けていませんが、医学英語論文に使用されるMicrosoftワードの基本設定は以下をお勧めします。

  • Times New Romanの12ポイントまたは10ポイントのフォントを使う。
  • 2行間に設定しパラグラフ(段落)とヘディング(見出し)の間にスペースを入れない。
  • ワードのレイアウトのメニューの項目へ行き、ユーザー設定の余白で上下左右の余白を全て25.4mm (1インチ)にする。

医学英語論文本文中の引用符(上付き番号)配置の基本

AMA11版スタイルでは医学英語論文本文中に紹介された順番に引用符を「上付き」の番号(X)で以下のように記載します。

1名の著者の場合

Smith1 states…

2名の著者の場合

Smith and Wells1 report that…

3名以上の著者の場合

(a) Smith et al1 indicated that…

(b) Smith and colleagues1 indicated that….

連続した番号の複数の文献の引用

A growing body of evidence1-3 suggests…

途切れたり連続したりした番号の複数の文献の引用

Numerous studies2,5-12,16 have shown…

クオテーションマークの外 (直接引用)

“quotation marks,”1(p.123)

カンマの外

Commas,1

括弧の外

(Parenthesis )1

ピリオドの上

Period.1

セミコロンの中

Semicolon1;

コロンの中

Colon1:

医学英語論文の本文中の直接の引用

医学英語論文では特に直接の引用、つまり他者の言葉をそのまま英語論文内にクオテーション・マーク(“ ”)を使って引用することは好まれません。

これはAMA第11版スタイルでも同様です。

主に他著者の言葉を自分の言葉に書き換えた、つまり英語で言えばパラフレーズ(Paraphrase)された英文が英語論文の大半を占めるのが原則です。

ただし、以下のような場合には直接の引用(Direct quote)が認められます。

  • 定義を紹介する時
  • 著者の言葉そのものをそのまま紹介し議論する必要がある時

定義を紹介する時

以下はLazarus et alがNature Medicineで “vaccine hesitancy(ワクチン忌避)” の定義を紹介した例です。

MacDonaldと共著者の言葉がそのままクオテーション・マーク(“ ”)で引用されているので上付きにした引用番号に括弧でページ番号が入っています。

4行以上の直接引用(Direct quote)の場合はクオテーション・マークは使わずそのままの文を以下のように一行空けて本文のフォント(12ポイント)よりやや小さい10ポイントのフォントでそのままの英文をブロック引用(Block quote)として挿入します。

最近ジャーナルに出版された内容について議論するLetter to the Editorやある特定の題目に関して専門家自身の独自の見解を述べるPerspectives, Opinions, Commentaryなどと呼ばれる特別な種類の医学英語論文でこのようなブロック引用が行われます。

しかし、研究を発表することを目的としたResearch Article, Original Researchなどと呼ばれる通常の医学英語論文でこのようなブロック引用はまず適用されませんのでご注意ください。

The following is one of the best examples of the direct quotation presented by Lazarus, et al1:

In 2015, the World Health Organization (WHO) Strategic Advisory Group of Experts on Immunization defined vaccine hesitancy as a “delay in acceptance or refusal of vaccination despite availability of vaccination services,”2(p.4163) which can vary in form and intensity based on when and where it occurs and what vaccine is involved, as has been confirmed in multiple studies3,4.

以下はラザラスらによる直接引用の最良の例である。

世界保健機構(WHO)の専門家予防接種諮問委員会は2015年にワクチン忌避(vaccine hesitancy)を「ワクチンを受ける体制が整っているにも関わらず、ワクチン接種に対する長引く躊躇や拒否を示すこと」と定義した。

このワクチン忌避の表れ方や程度はいつどこでどのワクチンに対してかにより異なることが複数の研究で示されている。

1. Lazarus JV, Ratzan SC, Palayew A, et al. A global survey of potential acceptance of a COVID-19 vaccine. Nat Med. 2021; 27:225-228. doi:10.1038/s41591-020-1124-9

2. MacDonald NE; SAGE Working Group on Vaccine Hesitancy. Vaccine hesitancy: Definition, scope and determinants. Vaccine. 2015;33:4161-4164. doi:10.1016/j.vaccine.2015.04.036

3. Karafillakis E, Larson HJ; ADVANCE Consortium. The benefit of the doubt or doubts over benefits? A systematic literature review of perceived risks of vaccines in European populations. Vaccine. 2017; 35:4840-4850. doi: 10.1016/j.vaccine.2017.07.061

4. Cobos Muñoz D, Monzón Llamas L, Bosch-Capblanch X. Exposing concerns about vaccination in low- and middle-income countries: A systematic review. Int J Public Health. 2015; 60: 767-780. doi:10.1007/s00038-015-0715-6

著者の言葉をそのまま紹介して議論する必要がある時 (事例1)

以下は厚生労働省が健康・医療に関する政策をまとめた『健康日本21(身体活動・運動)』で「多くの人が無理なく日常生活の中で運動を実施する方法の提供や環境をつくることが求められる」と提言を行った時の言葉をそのままクオーテーション・マークを使って直接引用した例です。

皆様が政府機関の方針として提言が行われた内容を正確に把握しそれを受けてどういった取り組みが国で行われたかについて議論を展開して行く医学英語論文を書かれているとしたら実際にどのような提言が行われたかをはっきりさせた方が良いのでこのような場合はパラフレーズするよりこのように直接引用した方が良いでしょう。

In recent recommendations given to its citizens, the Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan (MHLW)5(p.1) proposed “creating environment conducive to exercise or providing feasible methods to which, many citizens can easily incorporate in their daily lives, is desirable.”

厚生労働省は国民に「多くの人が無理なく日常生活の中で運動を実施する方法の提供や環境をつくることが求められる」と最近提言を行った。

5. Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan. Healthy Japan 21(Physical activity and exercise). Kenko nippon 21 (Shintai katsudo undo). Report in Japanese. Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan. Accessed August 26, 2021. https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/pdf/b2.pdf

著者の言葉をそのまま紹介して議論する必要がある時 (事例2)

以下はシーエー:キャンサー・ジャーナル・フォー・クリニシャンズ(CA: Cancer Journal for Clinicians)でジャーナルの特定の題目に関して専門家自身の独自の見解を述べる趣旨のPerspectivesという特別な種類の医学英語論文で直接引用が行われた例です。

最近の研究で肺がんのスクリーニング内で行われる禁煙プログラムが肺がん治療の費用効率性を高めることに貢献していることが示されたことを受けて医療スタッフの研修や禁煙プログラムをより提供しやすくする体制を整えることの重要性について述べるために主任研究者の言葉を直接引用しています。

The following is one of the best examples of the direct quotation presented by Fillon6(p.283):

Rafael Meza, PhD, senior study author of the JNCI study and an associate professor at the Department of Epidemiology of the University of Michigan in Ann Arbor, Michigan, says that, “Our analysis [in the JNCI study]7, including comparisons between different approaches, shows that cessation programs within lung cancer screening greatly expand the benefits of lung cancer at a reasonable cost making it even more cost-effective.”

以下はフィヨンによる直接引用の最良の例である。

ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(Journal of the National Cancer Institute)に発表された研究の主任研究者でミシガン州のアナーバーにあるミシガン大学、疫学学科、准教授のラファエル・メサ博士は「異なるアプローチの比較を含むJNCIに掲載された私たちの研究で行われた分析は肺がんスクリーニングの範囲内で行われる禁煙プログラムは手頃なコストで肺がんへの恩恵を大きく拡大するものであり、肺がん治療の費用効率性を更に高めていることを示した」と述べている。

6. Fillon M. Pairing smoking cessation with lung cancer screening may save lives. CA Cancer J Clin. 2021; 71(4): 283-284. doi: 10.3322/caac.21675

7. Cadham CJ, Cao P, Jayasekera J, et al. Cost-effectiveness of smoking cessation interventions in the lung cancer screening setting: A simulation study. J Natl Cancer Inst. 2021; 113(8): 1065–1073. doi:10.1093/jnci/djab002

医学英語論文の本文中の引用 (パラフレーズ)

上記で紹介した特別な場合以外、研究発表を目的とする通常の医学英語論文(例:Research Article, Original Research)を書くためには他の著者の言葉を自分の言葉に書き換えて、つまりパラフレーズし引用符を配置して引用しなければなりません。

引用の方法は(a)の例のように著者名を主語として取り上げて引用する方法と(b)の例のように文章の最後に引用符を配置して引用する方法があります。

基本的にその著者の先行研究が皆様の研究の基盤となる程、重要であったなどその著者名を挙げることに何らかの意義がある場合に(a)の引用方法を使います。

JrやIIIがつく著者のジャーナル文献の引用

英語論文の本文中の引用には著者名にJrやIIIを付ける必要はありません。

(a) Cioffi and Rue8 stressed that understanding the physiology of pulmonary insult is indispensable to improving the outcome of a thermally injured patient.

(b) Understanding the physiology of pulmonary insult is indispensable to improving the outcome of a thermally injured patient.8

シオフィとルーは熱傷患者の治療成果を改善するためには肺損傷の生理機能に関する知見がなくてはならないと強調した。

8. Cioffi WG Jr, Rue LW III. Diagnosis and treatment of inhalation injuries. Crit Care Nurs Clin North Am. 1991; 3(2): 191-198. doi:1016/S0899-5885(18)30730-5

国際機関、政府機関(団体著者)のウェブサイト上のレポート

政府機関などが団体著者の場合は最初の引用で省略形(例:CDC)を紹介し、次の引用からはその省略形を使うようにします。

(a) The US Centers for Disease Control and Prevention (CDC)9 encourage Medium Risk Students to follow a hybrid learning model that constitutes a mixture of virtual learning and in-person learning for all courses. Furthermore, the guidelines established by the CDC9 recommend the institutions of higher education to apply cohorting, alternating, or staggering schedules to minimize contact, especially for courses involving laboratory instructions or with a large number of students.

(b) Medium Risk Students are encouraged to follow a hybrid learning model that constitutes a mixture of virtual learning and in-person learning for all courses.9 Furthermore, the guidelines established by the US Centers for Disease Control and Prevention (CDC)9 recommend the institutions of higher education to apply cohorting, alternating, or staggering schedules to minimize contact, especially for courses involving laboratory instructions or with a large number of students.

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は高等教育機関において中程度リスクの学生には対面とオンラインの講義を含む混合学習モデルを全ての科目において適用することを勧めている。

また、CDCの指針によるとグループ分けやスケジュールを交互にさせたり、ずらしたりするなどの工夫をして特に実験室での実習や大人数の場合は密を避けるように推奨している。

9. Centers for Disease Control and Prevention. Guidance for institutions of higher education (IHEs). U.S. Department of Health and Human Services. Revised July 23, 2021. Accessed August 26, 2021. https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/community/colleges-universities/considerations.html

複数のジャーナル文献の医学英語論文本文中での引用

複数の文献を引用する場合はハイフン(‐)を使って以下のように引用符を配置します。

Consumption of energy drinks, especially among adolescents and young adults, has been a source of growing concern due to its increasing effect on cardiovascular risk,1012consumption of alcohol,13 drug use severity,1415 risky behavior,1617 depression,1820 and suicidality.2122

エナジードリンクの消費は心血管系リスク、アルコール消費、重度の薬物使用、リスク行動、うつ、自殺傾向を高める効果があることから、特に青少年や若者による消費に対する懸念が近年高まり続けている。

参考文献リスト内の著者名の基本的な記載方法

  • 1-6名の著者または編集者の場合は全員の名前を記載する。
  • 7名以上の著者または編集者の場合は最初の3名の名前を記載しet al.を付ける。

1名の著者の場合

Alter HJ.

2名の著者の場合

Cioffi WG Jr, Rue LW III.

3名の著者の場合

D’Agostino RB Sr, Massaro JM, Sullivan LM.

6名以上の著者の場合

Marchetti E, Krantz N, Berton C, et al.

団体著者の場合

WHO Zika Causality Working Group.

1名の著者と団体著者の場合

MacDonald NE; SAGE Working Group on Vaccine Hesitancy.

6名以上の著者と団体著者の場合

Krauer F, Riesen M, Reveiz L, et al; WHO Zika Causality Working Group.

ジャーナル・タイトルの省略形

ジャーナル・タイトルの省略形は米国国立医学図書館目録 (National Library of Medicine [NLM]Catalog)の省略形を参照し記載します。例えばネイチャーメディシン(Nature Medicine)ならNat Medが参考文献リストに載せる省略形になります。参考文献リストではジャーナル名の省略形はイタリック形(斜体)(例:Nat Med)にします。

DOI番号を記入する

DOI番号は“Digital Object Identifier” の略で英語論文をインターネット上ですぐに特定できるデジタルID番号です。最近出版された英語論文のほとんどにDOI番号(https://doi.org/…のリンク)が記載されているので以下の例のように参考文献内の引用の最後にdoi:…の形で加えるようにしましょう。

DOI番号がある1-6名の著者のジャーナル文献

Ahuja A, Safaya R, Prakash G, Kumar L, Shukla, NK. Primary mixed mullerian tumor of the vagina—a case report with review of the literature. Pathol Res Pract. 2011;207(4):253-255. doi:10.1016/j.prp.2010.10.002

DOI番号がある7名以上の著者のジャーナル文献

Marchetti E, Krantz N, Berton C, et al. Component impingement in total hip arthroplasty: Frequency and risk factors. A continuous retrieval analysis series of 416 cup. Orthop Traumatol Surg Res. 2011;97(2):127–133. doi:10.1016/j.otsr.2010.12.004

DOI番号がないジャーナル文献

Lewinnek GE, Lewis JL, Tarr R, Compere CL, Zimmerman JR. Dislocations after total hip-replacement arthroplasties. J Bone Joint Surg Am. 1978; 60(2):217-220.

日本語のジャーナル文献

日本語のジャーナル文献の場合は最初に英訳された論文の表題を挙げ、次に日本語の表題をローマ字で記載し、Article in Japaneseと締めくくります。

Ohtuka M, Chazono H, Suzuki H, et al. A differential diagnosis and treatment for calcific retropharygeal: A report of eight cases. Sekkaichinchakuseikeichoukinen no hachi rei-sono kannbetsushindan to chiryo ni tsuite. Article in Japanese. Nippon Jibiinkoka Gakkai Kaiho.2013;116: 1200-12007.doi:10.3950/jibiinkoka.116.1200

6名以上の著者と団体著者のジャーナル文献

Krauer F, Riesen M, Reveiz L, et al; WHO Zika Causality Working Group. Zika virus infection as a cause of congenital brain abnormalities and Guillain–Barré syndrome: Systematic review. PLoS Med. 2017; 14(1): e1002203. doi: 10.1371/journal.pmed.1002203

一般的な書籍

Dames S. Root Strength: A Heath and Care Professionals Guide to Minimizing Stress and Maximizing Thriving. 1st ed. Elsevier, 2021.

編集された書籍の章

書籍の表題のみ大文字で記載します。

Alici Y, Modhwadia K, Breitbart WS. Psychosocial and psychiatric suffering. In Quill TE, Miller FG, eds. Palliative Care and Ethics.1st ed. Oxford University Press; 2014: 136-161.

編集された書籍の巻

Lloyd RV, Osamura RY, Kloppel G, Rosai J, eds. WHO Classification of Tumours: Pathology and Genetics of Tumours of Endocrine Organs. 4th ed. Vol. 10. International Agency for Research on Cancer (IARC); 2017.

団体著者の編集された書籍

 WHO Classification of Tumours Editorial Board, eds. Thoracic Tumours: WHO Classification of Tumours. 5th ed. International Agency for Research on Cancer (IARC); 2021.

参考文献リストの基本的なフォーマット(雛形)

  • ワード文書を開けてTimes New Romanの12ポイントのフォントでReferencesとタイプしホーム項目のフォント欄で太字(References)にし、段落欄で左揃えにする。
  • 英語論文で紹介された文献の引用符の番号順に並べる。

いかがでしたか?AMA第11版スタイルに関するご質問やご不明な点がございましたらお気軽にご連絡下さい。

見事に英語論文執筆が完了されたあかつきにはリンクサイエンスの英語論文校閲サービスをお試し頂きますようお願い申し上げます。

英語論文執筆のこの次のステップは『Mendeleyで文献を探し整理し引用して参考文献リストを作成してみよう!』で紹介しています。

Reference

AMA Manual of Style Committee, eds. AMA Manual of Style: A Guide for Authors and Editors. 11th ed. Oxford University Press; 2020.

APA7th Edition Style Quick Guide

英語論文を書くためのAPA (American Psychological Association) 第7版スタイル簡易ガイド

目次

英語論文で最も一般的なスタイルと言えばAPAスタイルです。

APAスタイルはアメリカ心理学会 (American Psychological Association)が考案し推奨している英語論文の引用の仕方や参考文献リストの作成方法のスタイルです。 

英語論文を執筆中で最終的にどのジャーナルに投稿するかがまだ定まっておらず、引用の仕方や参考文献リストの作成方法に迷った時、皆様の分野が看護学、心理学を始めとした様々な社会科学、経営学、コンピューター科学、情報科学、電気工学なら特にAPA第7版スタイルのマニュアル(APA7th edition Manual of Style)を参照されることをお勧めします。

現在のところ2019年10月に改訂された第7版が最新版です。

 Journal of Intergenerational Relationships, Japan Journal of Nursing Science など上記の分野の多くのジャーナルがAPA第7版スタイル(APA 7th edition style)を推奨しているので博士論文をこのスタイルで書いていればある程度の微調整をするだけでジャーナルに投稿できます。

また International Journal of Nursing Studies, Social Science and Medicineなどある特定のスタイルを使用していれば特にこのスタイルで投稿しなければならないという規定がないジャーナルもあるのでその場合はこのスタイルを使用していれば国際的に幅広く使用されるスタイルなので安心です。

このAPA第7版スタイルの詳細については図書館などに出向かれアメリカ心理学会が出版しているAPA第7版スタイルのマニュアルをご覧頂くのが一番ですがここでは皆様が英語論文執筆中に参照できる内容を簡単にご紹介させて頂きます。

医学英語論文をご執筆中の方は『医学英語論文を書くためのAMA (American Medical Association) 第11版スタイル簡易ガイド』のページをご覧ください。

文書全体の基本的なフォーマット( 雛形)

英語論文に使う文書をMicrosoft ワードで以下のようにAPA第7版スタイルに設定しておきましょう。

  • Times New Romanの12 ポイントのフォントを使う。
  • 2行間に設定しパラグラフ(段落)やヘディング(見出し)の間にスペースを入れない。
  • ワードのレイアウトメニューの余白の項目へ行き、ユーザー設定の余白で上下右左の余白を全て25.4mm(1インチ)に設定する
  • パラグラフ(段落)の始めは12.7mm (0.5インチ)インデント(字下げ)する。

英語論文の本文中の直接の引用

英語論文では基本的に直接の引用、つまり他者の言葉をそのまま英語論文内にクオーテーション・マーク( “ ”)を使って引用することは好まれません。

これはAPA第7版スタイルでも同様です。

主に他著者の言葉を自分の言葉に書き換えた、つまり英語で言えばパラフレーズ(Paraphrase)された英文が英語論文の大半を占めるのが原則です。

ただし、以下のような場合には直接の引用 (Direct quote)が認められます。

  • 定義を紹介する時
  • 著者の言葉そのものをそのまま紹介し議論する必要がある時
  • 著者の言葉そのものが忘れられないほど興味深く上手く要点をつかんでいる時

定義を紹介する時

以下はバーンアウトの尺度を開発した研究者のバーンアウトの定義をAPA第7版スタイルで紹介した例です。

このように皆様の英語論文の要となる定義を紹介する場合は直接引用をするべきです。

英語論文本文中の引用

The pioneers of the burnout research, Maslach and Jackson (1981), defined burnout as “a syndrome of emotional exhaustion and cynicism that occurs frequently among individuals who do ‘people-work’ of some kind” (p.99).

バーンアウト研究の先駆者であるマスラークとジャクソンはバーンアウトを「人に関するサービス業に従事する人によくみられる精神的消耗とシニシズムを伴う症候群である」と定義した。

参考文献内の引用

Maslach, C., & Jackson, S. E. (1981). The measurement of experienced burnout. Journal of Organizational Behavior, 2(2), 99-113. https://doi.org/10.1002/job.4030020205

著者の言葉をそのまま紹介して議論する必要がある時

以下は厚生労働省が健康・医療に関する政策をまとめた『健康日本21(身体活動・運動)』で「多くの人が無理なく日常生活の中で運動を実施する方法の提供や環境をつくることが求められる」と提言を行った時の言葉をそのままクオーテーション・マークを使って直接引用した例です。

皆様が政府機関の方針として提言が行われた内容を正確に把握しそれを受けてどういった取り組みが国で行われたかについて議論を展開して行く英語論文を書かれているとしたら実際にどのような提言が行われたかをはっきりさせた方が良いのでこのような場合はパラフレーズするよりこのように直接引用した方が良いでしょう。

英語論文本文中の引用

In recent recommendations given to its citizens, the Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan (MHLW, 2021) proposed “creating an environment conducive to exercise or providing feasible methods that many citizens can easily incorporate in their daily lives, is desirable” (p.1).

厚生労働省は国民に「多くの人が無理なく日常生活の中で運動を実施する方法の提供や環境をつくることが求められる」と最近提言を行った。

参考文献内の引用

Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan. (2021). Kenko nippon 21 (Shintai katsudo undo) [Healthy Japan 21 (Physical activity and exercise)]. https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/pdf/b2.pdf

忘れられないほど興味深く上手く要点をつかんでいる時

このような事例は多くありませんが今までの概念を根底から覆すような発見があった場合に研究者本人のインパクトがある言葉そのもので一石を投じた事柄について紹介する意義がある場合にも直接引用が行われます。

このような直接引用は著者の言葉をそのまま紹介して学会全体で議論する必要がある時によく活用されます。

英語論文本文中の引用

Contrary to what has previously been believed, narcissism might arise from insecurities rather than an inflated sense of self; according to Kowalchyk et al. (2021), “narcissism per se might be inherently vulnerable—characterized by insecurities and self-elevating behavior—in nature” (p. 110780).

今まで信じられていた説に反してナルシシズムは過剰な自意識ではなく不安感から生じているかも知れない。

チャウルチックらは「ナルシズムは本来、不安感と自身を持ち上げようとする行動に特徴づけられる本質的に脆弱な気質かも知れない」と述べている。

参考文献内の引用

Kowalchyk, M., Palmieri, H., Conte, E., & Wallisch, P. (2021). Narcissism through the lens of performative self-elevation. Personality and Individual Differences, 177, 110780. https://doi.org/10.1016/j.paid.2021.110780

英語論文の本文中と参考文献内の引用

上記で紹介した特別な場合以外、英語論文を書くためには他の著者の言葉を自分の言葉に書き換えて、つまりパラフレーズして著者名を挙げて引用しなければなりません。

引用の方法は(a)の例のように著者名を主語として取り上げて引用する方法と(b)の例のように著者名をカッコ内に入れて引用する方法があります。

基本的にその著者の先行研究が皆様の研究の基盤となる程、重要であったなど、その著者名を挙げることに何らかの重要性がある場合に(a)の引用方法を使います。

DOI番号がある1名の著者のジャーナル文献

DOI番号は“Digital Object Identifier” の略で英語論文をインターネット上ですぐに特定できるデジタルID番号です。

最近出版された英語論文のほとんどにDOI番号(https://doi.org/…のリンク)が記載されているので参考文献内の引用の最後に加えるようにしましょう。

英語論文本文中の引用

(a) Beck (2021) identified specific metaphors, used by postpartum mothers, associated with panic disorder.

(b) Specific metaphors, used by postpartum mothers, are associated with panic disorder (Beck, 2021).

ベックは産後の母親のパニック障害と関連がある特定の隠喩を確認した。

参考文献内の引用

APA第7版スタイルではジャーナル名と巻名をイタリック文字(斜体)(例:Archives of Psychiatric Nursing, 35)にしますが発行番号(例:4)はイタリック文字(斜体)にしません。

Beck, C. T. (2021). Postpartum onset of panic disorder: A metaphor analysis. Archives of Psychiatric Nursing, 35(4), 369-374. https://doi.org/10.1016/j.apnu.2021.05.004

DOI番号がある2名の著者のジャーナル文献

英語論文本文中の引用

(a) Richards and Smith (2015) demonstrated that very high levels of caffeine, often found in energy drinks currently on the market, are associated with anxiety and depression, especially in males.

(b) Very high levels of caffeine, often found in energy drinks currently on the market, are associated with anxiety and depression, especially in males (Richards & Smith, 2015).

リチャードとスミスの研究は現在市場に出回っているエナジードリンクなどによく見られるような高濃度のカフェインは特に男性の不安やうつと関連があることを実証した。

参考文献内の引用

Richards, G., & Smith, A. (2015). Caffeine consumption and self-assessed stress, anxiety, and depression in secondary school children. Journal of Psychopharmacology, 29(12), 1236-1247. https://doi.org/10.1177/0269881115612404

DOI番号がある3~19名の著者のジャーナル文献

以下の(b)では英文の最後ではなく“A new scheduling model (Demir et al., 2021)”というように “A new scheduling model”のすぐ後に引用が行われています。

英文の最後ではなく“A new scheduling model”のすぐ後に引用することでこの新しいスケジューリングモデルがDemir et al.によって開発されたことがよりわかりやすくなっています。

英語論文本文中の引用

(a) A new scheduling model developed by Demir et al. (2021) substantially enhanced the efficiency of chemotherapy delivery while reducing the burden on nursing staff.

(b) A new scheduling model (Demir et al., 2021) substantially enhanced the efficiency of chemotherapy delivery while reducing the burden on nursing staff.

デミルらが開発した新しいスケジューリングモデルは化学療法の効率を実質的に改善すると同時に看護師への負担を軽減することに成功した。

参考文献内の引用

Demir, N. B., Gul, S., & Çelik, M. (2021). A stochastic programming approach for chemotherapy appointment scheduling. Naval Research Logistics, 68, 112-133. https://doi.org/10.1002/nav.21952

DOI番号がある20名以上の著者のジャーナル文献

20名以上の著者の場合は最初の19名の名前を列挙した後、…で省略し最後の著者名だけ記載して締めくくります。

参考文献内の引用

Polack, F. P., Thomas, S. J., Kitchin, N., Absalon, J., Gurtman, A., Lockhart, S., Perez, J. L., Marc, G. P., Moreira, E. D., Zerbini, C., Bailey, R., Swanson, K. A., Roychoudhury, S., Koury, K., Li, P., Kalina, W.V., Cooper, D., Frenck, R.W., Jr., Hammitt, L.L., …Gruber, W.C. (2020). Safety and efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 vaccine. New England Journal of Medicine, 383(27), 2603–2615. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2034577

日本語のジャーナル文献

日本語のジャーナルの場合は論文の日本語の表題をローマ字で記載した後、角括弧内に日本語の表題の英訳を入れます。

参考文献内の引用

Tanaka, C., & Tanaka, S. (2012). Nihonjinkinrousha no nichijou no shintaikatsudouryou ni okeru ho-soukou igai no shintaikatudou no kiyo [Contribution of non-locomotive activity to habitual physical activity in Japanese workers]. Japanese Journal of Physical Fitness and Sports Medicine, 61(4), 435-441. https://doi.org/10.7600/jspfsm.61.435 

複数のジャーナル文献の引用

英語論文の本文中に複数の著者名を引用する場合はカッコ内の著者名を例えば(Fisk, 2021; Gutiérrez-Hellín, et al., 2021; Kamijo, 2018)という風にアルファベット順に並べなければなりません。

英語論文本文中の引用

Consumption of energy drinks, especially among adolescents and young adults, has been a source of growing concern due to its increasing effect on cardiovascular risk (Fisk, 2021; Gutiérrez-Hellín, et al., 2021; Kamijo, 2018), consumption of alcohol (McKetin et al., 2015), drug use severity (Leal & Jackson, 2018; Terry-McElrath et al., 2014), risky behavior (Svensson et al, 2021; Utter et al., 2018), depression (Bonar et al., 2017; Petrelli et al, 2018; Richards & Smith, 2015) , and suicidality (Kim et al., 2020; Masengo et al., 2020).

エナジードリンクの消費は心血管系リスク、アルコール消費、重度の薬物使用、リスク行動、うつ、自殺傾向を高める効果があることから、特に青少年や若者による消費に対する懸念が近年高まり続けている。

国際機関、政府機関(団体著者)のウェブサイト上のレポート

政府機関などが団体著者の場合は最初の引用で省略形(例:CDC)を紹介し、次の引用からはその省略形を使うようにします。

英語論文本文中の引用

(a) The US Centers for Disease Control and Prevention (CDC, 2021) encourage Medium Risk Students to follow a hybrid learning model that constitutes a mixture of virtual learning and in-person learning for all courses. Furthermore, the guidelines established by the CDC (2021) recommend the institutions of higher education to apply cohorting, alternating, or staggering schedules to minimize contact, especially for courses involving laboratory instructions or with a large number of students.

(b) Medium Risk Students are encouraged to follow a hybrid learning model that constitutes a mixture of virtual learning and in-person learning for all courses (Centers for Disease Control and Prevention [CDC], 2021). Furthermore, the guidelines (CDC, 2021) recommend the institutions of higher education to apply cohorting, alternating, or staggering schedules to minimize contact, especially for courses involving laboratory instructions or with a large number of students.

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は高等教育機関において中程度リスクの学生には対面とオンラインの講義を含む混合学習モデルを全ての科目において適用することを勧めている。

また、CDCの指針によるとグループ分けやスケジュールを交互にさせたり、ずらしたりするなどの工夫をして特に実験室での実習や大人数の場合は密を避けるように推奨している。

参考文献内の引用

Centers for Disease Control and Prevention. (2021, July 23). Considerations for institutions of higher education. U.S. Department of Health and Human Services. https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/community/colleges-universities/considerations.html

同一著者の同一年のジャーナル文献の引用

英語論文本文中の引用

Due to a wide range of variability caused by under-counting or over-counting in some countries (Ioannidis, 2021a), recently generated Global COVID-19 infection fatality rate—0.15% as of February 2021—must be interpreted with utmost caution (Ioannidis, 2021b).

一部の国で起こった数え過ぎや数えそびれによる幅広い可変性を考慮すると2021年2月発表時点の0.15%というCOVID-19感染による世界的死亡率は細心の注意で解釈されなければならない。

参考文献内の引用

Ioannidis, J. P. (2021a). Over-and under-estimation of COVID-19 deaths. European Journal of Epidemiology, 36, 581-588. https://doi.org/10.1007/s10654-021-00787-9

Ioannidis, J. P. (2021b). Reconciling estimates of global spread and infection fatality rates of COVID‐19: An overview of systematic evaluations. European Journal of Clinical Investigation, 51(5), e13554. https://doi.org/10.1111/eci.13554

Jr.やIII.がつく著者のジャーナル文献

英語論文の本文中の引用には著者名にJr.やIII.などを付ける必要はありません。

英語論文本文中の引用

(a) Cioffi and Rue (1991) stressed that understanding the physiology of pulmonary insult is indispensable to improving the outcome of a thermally injured patient.

(b) Understanding the physiology of pulmonary insult is indispensable to improving the outcome of a thermally injured patient (Cioffi & Rue, 1991).

シオフィとルーは熱傷患者の治療成果を改善するためには肺損傷の生理機能に関する知見がなくてはならないと強調した。

参考文献内の引用

Cioffi, W. G., Jr., & Rue, L. W., III. (1991). Diagnosis and treatment of inhalation injuries. Critical Care Nursing Clinics of North America, 3(2), 191-198. https://doi.org/10.1016/S0899-5885(18)30730-5

一般的な書籍

参考文献内の引用

Dames, S. (2021). Root strength: a heath and care professionals guide to minimizing stress and maximizing thriving (1st ed.). Elsevier.

編集された書籍の巻

参考文献内の引用

Lloyd, R.V., Osamura, R.Y., Kloppel, G., & Rosai, J. (Eds.). (2017). WHO classification of tumours: Pathology and genetics of tumours of endocrine organs (4th ed., Vol.10). International Agency for Research on Cancer (IARC).

団体著者の編集された書籍

参考文献内の引用

WHO Classification of Tumors Editorial Board. (Eds.). (2021). Thoracic tumours: WHO classification of tumours (5th ed.). International Agency for Research on Cancer (IARC).

編集された書籍の章

参考文献内の引用

Alici, Y., Modhwadia, K., & Breitbart, W. S. (2014). Psychosocial and psychiatric suffering. In T.E. Quill & F. G. Miller (Eds.), Palliative care and ethics (pp.136-161). Oxford University Press.

大学の機関リポジトリにある英語で書かれた博士論文

参考文献内の引用

Anraku, S. (2021). Surface modification and functionalization of hexaniobate nanosheets with DNA and polymethylmethacrylate [Doctoral dissertation, The Fukuoka Institute of Technology]. The Fukuoka Institute of Technology Institutional Repository. https://fit.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=810&file_id=21&file_no=1

👉基本的に大学の機関レポジトリにきちんとリンクがあるような英語論文なら参考文献に載せても問題ありません。

しかし出版されておらず大学の機関レポジトリにも掲載されていないような論文は参考文献として認められないことが多いので注意が必要です。

参考資料として論文以外の媒体に記載されたい方のために念の為、例を挙げておきます。

 

出版されていない日本語の修士論文

引用方法

Tanaka, H. (2023). Kuraudo konpyuting kankyo ni okeru sekyurititaisaku no kyouka: kyouikenshutu to injidento taiou no tameno houkatuteki framework [Enhancing cybersecurity measures in cloud computing environments: A comprehensive framework for threat detection and incident response] [Unpublished master’s thesis]. The Fukuoka Institute of Technology.

出版されていない学部生が日本語で書いた卒業論文

引用方法

Yamada, T. (2023). Kuraudo-beesu no data bunseki ni okeru koritsusei to anzen no koujou: Sukeraburu na shori to puraibashi hogo no tame no atarashii apurochi [Enhancing efficiency and security in cloud-based data analytics: A novel approach for scalable processing and privacy preservation] [Unpublished undergraduate thesis]. The Fukuoka Institute of Technology.

同じ著者の異なる年のジャーナル文献の並べ方

過去の年から先に並べる

以下の例のようにArnesonという同著者の方の文献が2つある場合は過去の年から参考文献リストに並べます。

Arneson, R. J. (1991). Lockean self-ownership: Towards a demolition. Political Studies, 39(1), 36-54. https://doi.org/10.1111/j.1467-9248.1991.tb00580.x

Arneson, R. J. (2005). The shape of Lockean rights: Fairness, pareto, moderation, and consent. Social Philosophy and Policy, 22(1), 255-285. https://doi.org/10.1017/S0265052505041105

参考文献リストの基本的なフォーマット(雛形)

  • ワード文書を開けてReferencesとタイプしホーム項目のフォント欄で太字(References)にし、段落欄で中央揃えにする。
  • 著者名を基に文献をアルファベット順に並べる。
  • 同じ著者の異なる年の文献の場合は過去の年から並べる。
  • 2行以上の文献の引用は2行目を段落欄のインデント「ぶら下げ」で12.7mm (1/2インチ)インデントする(下げる)。

いかがでしたか?APA第7版スタイルに関するご質問やご不明な点がございましたらお気軽にご連絡下さい。

見事に英語論文執筆が完了されたあかつきには是非リンクサイエンスの英語論文校閲サービスをお試し頂きますようお願い申し上げます。

英語論文執筆のこの次のステップは『Mendeleyで文献を探し整理し引用して参考文献リストを作成してみよう!』で紹介しています。

Reference

American Psychological Association. (2020). Publication manual of the American Psychological Association (7th ed.). American Psychological Association. https://doi.org/10.1037/0000165-000

How to search for scientific evidence on Mesh with a PICO question

PICOで臨床疑問を設定しMeSHで英語論文のエビデンス(科学的証拠)を見つけよう!

1. PICO(ピコ)方式で具体的な臨床疑問を英文でノートに書く

「PICO方式で具体的な臨床疑問を設定しMeSHで英語論文のエビデンス(科学的証拠)を見つけよう!」と言うととても難しく聞こえますが、基本的には自分が疑問に思っている問題を具体的な質問として英文で書いてインターネットで検索することを表します。

これから英語論文を執筆するにはまず今までの研究で何がわかっているかに関するエビデンス(査読付きのジャーナルに発表された研究結果に基づく科学的証拠)を集めてそれを論理的な流れに沿って整理して行く必要があります。

そのために必要な作業の第一歩がこの「PICO方式で具体的な臨床疑問を設定しMeSHで英語論文のエビデンスを見つける」作業となります。

ここではまず早く図書館に行って検索を始めたいというはやる気持ちをグッと抑えて下準備から始めます。

図書館のデータベースで色々と検索する際の労力の無駄を省くためまずPICOという方式で具体的な臨床疑問を質問として英文でノートに書きます。

PICOとはPatients (患者)またはPopulation(被験者), Intervention (介入), Comparison (比較対象), Outcome(結果)の略です。

前回のポストで紹介した方法でMedical Xpressなどへ行っていくつかご興味がある最新の研究に関する文献を読んでみてご自身の中に色々な疑問が浮かんでいることと存じます。

図書館に出向く前にその疑問をPatients (患者)またはPopulation(被験者), Intervention (介入), Comparison (比較対象), Outcome(結果)に沿って具体的な英文の質問にして書くことから始めます。

例えば “Do young adults who drink energy drinks (as compared to those who don’t) have an increased risk of depression?”

「エナジードリンク(カフェインやアミノ酸などを含む清涼飲料水)を飲む若年成人(19-24 歳)は(エナジードリンクを飲まない若年成人と比べて)うつ病になる危険性が上昇するのか?」はこのPICO方式の臨床疑問です。

P(Patients or Population) 誰が?患者・被験者の特徴は? Young adults 若年成人
I (Intervention) どのような介入が行われる? Drinking energy drinks エナジードリンクを飲む若年成人
C (Comparison) Pの比較対象者は? Young adults who don't drink energy drinks エナジードリンクを飲まない若年成人
O (Outcome) 得られる結果は? 得たい結果は? Increased risk of depression うつ病の危険性の上昇

Pではどんな患者さんまたは被験者のグループが皆様の疑問の対象か考えます。

この例では19歳から24歳の若年成人(Young adults)にしていますが、これは皆様の疑問により幼児(Infants)、女性患者(Female patients)、高齢者(Aged)など様々な年齢や性別の対象者になり得ます。

Iではどのような介入が行われるかを想定します。この例では「エナジードリンクを飲むかどうか」がIの要素ですが、Iは皆様の疑問によりある特定の薬、運動方法、食生活、研修プログラムなど様々な介入方法があるでしょう。

Cは比較する対象者を表し、ここではIの「エナジードリンクを飲む若年成人グループ」と対照させるグループを考えます。

この例でCは「エナジードリンクを飲まない若年成人」になりますが皆様の疑問によりCはプラセボ群、対照群あるいはIに似通った薬、運動方法、食生活などに関係したグループになるかも知れません。

そして最後にOは得られる結果または得たい結果になります。

この例で結果は「うつ病発症の危険性の上昇」になります。

それ以外には痛みやある特定の症状の改善、何かの確率や危険性など皆様の疑問により様々でしょう。

2.色々なPICO臨床疑問の具体例

他にもいくつかPICO方式の臨床疑問の例を以下に挙げてみました。

これらを参考にまずご自身の疑問をPICO方式の臨床疑問としていくつか英文でノートに書いてみましょう。

“What is the efficacy of fluoxetine versus sertraline on depression for adults with obesity?”

「肥満成人のうつ病に対するフルオキセチンとセルトラリンの効果は?」

P(Patients or Population) 誰が?患者・被験者の特徴は? Obese adults 肥満成人
I (Intervention) どのような介入が行われる? Fluoxetine フルオキセチン
C (Comparison) Pの比較対象者は? Sertraline セルトラリン
O (Outcome) 得られる結果は? 得たい結果は? Decreased levels of depression うつ病レベルの低下

“Do women who take vitamin C have less severe symptoms of asthma?”

「ビタミンCを摂取している喘息の女性の症状はあまり深刻ではないのだろうか?」

P(Patients or Population) 誰が?患者・被験者の特徴は? Women with asthma 喘息の女性
I (Intervention) どのような介入が行われる? Vitamin C intake ビタミンC摂取
C (Comparison) Pの比較対象者は? Women with asthma who DO NOT take vitamin C ビタミンCを摂取していない喘息の女性
O (Outcome) 得られる結果は? 得たい結果は? Less severe symptoms of asthma あまり深刻ではない喘息の症状

“Are nurses who demonstrate higher levels of resilience less likely to burnout at work than nurses who show lower levels of resilience?”

「レジリエンス(復活力)の程度が高い看護師はレジリエンス(復活力)の程度が低い看護師に比べて職場でバーンアウトに陥る確率が低いのだろうか?」

P(Patients or Population) 誰が?患者・被験者の特徴は? Nurses who demonstrate higher levels of resilience レジリエンス(復活力)の程度が高い看護師
I (Intervention) どのような介入が行われる? No intervention 介入なし
C (Comparison) Pの比較対象者は? Nurses who demonstrate lower levels of resilience レジリエンス(復活力)の程度が低い看護師
O (Outcome) 得られる結果は? 得たい結果は? Decreased probability of falling into burnout バーンアウトに陥る確率の低下

“Is classroom learning more effective than e -learning for first year undergraduate students?”

「大学の学部一年生にとって教室での学習はインターネットを使ったeラーニングより効果があるだろうか?」

P(Patients or Population) 誰が?患者・被験者の特徴は? First year undergraduate students 大学の学部一年生
I (Intervention) どのような介入が行われる? Classroom learning 教室での学習
C (Comparison) Pの比較対象者は? e-learning インターネットを使ったeラーニング
O (Outcome) 得られる結果は? 得たい結果は? Higher levels of academic performance in students 学部一年生のより高い学業成績

“In patients undergoing hip arthroplasty, does genotype-guided warfarin therapy provide better anticoagulation control than conventional warfarin therapy? ”

「遺伝子型に基づくワルファリン療法は従来のワルファリン療法より股関節形成術を受けている患者のより良好な抗凝固管理に繋がるだろうか?」

P(Patients or Population) 誰が?患者・被験者の特徴は? Patients undergoing hip arthroplasty 股関節形成術を受けている患者
I (Intervention) どのような介入が行われる? Genotype-guided warfarin therapy 遺伝子型に基づくワルファリン療法
C (Comparison) Pの比較対象者は? Conventional warfarin therapy 従来のワルファリン療法
O (Outcome) 得られる結果は? 得たい結果は? Anticoagulation control 抗凝固管理

3. MeSH(メッシュ)とは何か?

PICO方式の臨床疑問が英語で書けたらこの臨床疑問に関するエビデンスをMeSHと呼ばれるインーネット上のデータベースで検索してみましょう。

MeSHはMedical Subject Headingsの略で生命科学分野の学術文献の検索サイトPubMed(パブメド)に掲載されている文献の内容を表す適切な用語が整理されている米国国立医学図書館 (NLM)データベースです。

MeSH用語は基本的にツイッターのハッシュタグと同じような役割を果たします。

例えば以下のツイッターの投稿では  #犬 #犬のある暮らし #犬のいる生活 #犬のいる幸せ #大型犬 というハッシュタグが使われています。

このハッシュタグをクリックすると一瞬の内にツイッターで犬に関する投稿を検索し、犬好きの人と繋がれるようになっていることはきっと皆様もよくご存じのことでしょう。

このハッシュタグと同じようにMeSH用語を使うとある特定の題目に関する英語論文を一瞬の内に検索することが出来ます。

MeSH用語はある特定の分野の題目の専門家と図書館の司書が手作業で用語と文献を照らし合わせて整理しています。

今のインターネット時代でも手作業で用語が整理されているとは驚きですがこれは例えばCraneという英単語は全く同じスペルですが、「ツル」を表す場合と「起重機・クレーン」を表す場合があります。

このような微妙な言葉の違いを間違いなく乗り越え、検索の精度を高めることにより正確に文献が検索できるよう人々のたゆまぬ努力の上にMeSHが成り立っているのです。

その努力のお陰でたくさんのキーワードからなる同じような題目に関する研究を的確に検索することが出来ますが、人の手による整理にはしばらく時間がかかるため最新の研究が検索できないのがMeSHの短所です。

しかし、このように時間をかけてもMeSH用語を人手をかけて整理する必要がある理由は例えば「ビタミンC」というキーワードひとつを取ってみても英語論文内で使われる用語としては以下のように驚くほどたくさんのばらつきがあるからです。

4. PICO疑問を使ってMeSHでエビデンスを探す

このデモンストレーションでは以下のPICO方式の臨床疑問を使ってMeSHでエビデンスを探します。

“Do young adults who drink energy drinks (as compared to those who don’t) have an increased risk of depression?

デモンストレーションは上のビデオで見た方がわかりやすいかも知れません。

まずMeSHのページへ行きEnergy drink*と検索してみましょう。

ここでひとつ検索のコツはEnergy drinkと書かれた英語論文もEnergy drinksと書かれた英語論文も含めて全てのエナジードリンクに関する一連の英語論文を探したい場合はEnergy drink*とアスタリスク(*)を付けて検索すると関連した英語論文の全てが検索できます。

例えばもし皆様が看護師についての文献を探していらっしゃる場合はNurs*と検索すればNurse, Nursing, Nursesと看護師に関連した題目に関する一連の英語論文が全て検索できるのでアスタリスク(*)を入れた方が効率が良いのです。

Energy drink*と検索すると次のようなページが現れEnergy DrinksMeSHで使用されるこの題目の基本的な用語(Entry Term)となっていることがわかります。

右側の“Add to search builder”をクリックして検索グループにこの用語を挿入し “Search PubMed” をクリックします。

すると805本のエナジードリンク関連の英語論文が出てきした。

でも、ここで立ち止まらずに引き続き今度はdepressionと入れて同じように検索します。

Depressionが検索出来たら今度は“Advanced”という項目をクリックします。

すると“History and Search Details”という見出しが出てくるのでその中のActionsという項目の下の「・・・」をクリックします。

Add queryという項目をクリックしQuery BoxにDepression を入れます。

次にまた「・・・」をクリックして “Add with AND“をクリックします。

そしてQuery BoxにDepressionとEnergy Drinksの両方が入ったらこれらの2つの題目を組み合わせた検索をかけます。

するとDepressionとEnergy Drinksに関連した21の文献が出てきました。

つぎに左側の “Additional Filters”というメニューをクリックしある特定の年齢グループのみの文献が出てくるよう検索フィルターをかけます。

PICO 疑問に基づきこの例ではYoung Adult:19-24 yearsの若年成人に関心があるのでフィルターをかけてこのグループに焦点を絞ります。

すると最終的に 4本のエビデンスになりそうな英語論文が見つかりました。

いかがでしたか?ご質問やご不明な点がございましたらお気軽にご連絡下さい。

How to read effectively to get the idea for your paper

今熱い研究を効率よく読んで英語論文のアイデアを得るにはどうすれば良いですか?

前回のポストで英語論文を書き始めるにはまず皆様のご興味があるトピック(題目)に関して現時点で何がわかっていて、何がわかっていないのかはっきりさせなければいけないことをご説明させて頂きました。

そのために先行研究が掲載された信頼できるジャーナルの文献を読み皆様のご興味があるトピックに関してまず何がわかっているかの証拠集めを開始するところから英語論文の作成は始まります。

しかし、ここでいきなり図書館に出向いてでジャーナルに掲載された英語論文の文献を読み始めようとすると、初めて英語論文執筆に挑戦される初心者の方はその難解さに圧倒されてしまうかも知れません。

まずは余り気負いせずにこれから数年の間、自分自身が日々向き合ってうんざりすることがない、

本当に掘り下げてもっともっと探究したいとワクワクするような題目を選ぶのが今後のご自身の精神の安定のためにも英語論文を見事に完成させるためにも大切です。

そこでジャーナルに掲載された今熱い研究を一般人にもわかりやすい英語で紹介しているサイトを活用してまずいくつか興味のある研究について読み、

ざっくりと研究課題やキーワードのアイデアを得るところから始めましょう。

このジャーナルに掲載された今熱い研究を一般人にもわかりやすい英語で紹介しているサイトは分野によって異なるため、

これら各サイト詳しい活用方法に関しては「ジャーナルに出版された文献がラクラク読める4つのお勧めサイト」のポストをご覧ください。

このポストでは初めて英語論文執筆に挑戦される医療系分野の方を念頭にMedical Xpress というサイトを活用してざっくりと研究課題やキーワードのアイデアの得ることを目的とします。

  1. Medical Xpress のサイトへ行き “Topics(題目)”をクリックする。

2. Topicsをざっと見て興味がある題目をクリックして自身が興味がある最新の研究を探す

3. “Conditions (健康状態)”をそして“Full list (全リスト)”をクリックして様々な健康状態を見てみる

4. アルファベット順に並べられた健康状態の全リストから自分の興味があるものを探してクリックする

5.ここでは例として “Parkinson’s disease(パーキンソン病)“をクリックしてみましょう。

するとParkinson’s diseaseの解説と共に最新の研究結果をわかりやすい英語で紹介した記事が閲覧できます。

6. 興味がある記事をクリックしマウスを下へスクロールして記事の下の部分でこの記事の基になったジャーナルに掲載された研究の文献の情報がDOI番号と共に得られます。

ジャーナルのDOI番号をクリックすればその記事の基となったジャーナルの文献を読むことが出来ます。

まずMedical Xpressでご自身が最も興味深いと思われる記事をいくつかわかりやすい英語で読んでおおよその研究内容を理解した上で、ジャーナルに出版された文献を読んでみましょう。

そしてジャーナルに出版された文献の”Discussion(考察)”のセクションの最後の方に恐らく次の研究課題に関する何らかの提案がされているはずですからそれらをノートに書き留めてご自身の研究の目的の焦点を絞って行きましょう。

同時にジャーナルに出版された先行研究はどのようなキーワードを使っているかの情報もノートに書き留め、ご自身の研究のキーワードを選ぶためのアイデアの収集に着手します。

これらのキーワードは最終的にジャーナルに投稿される際におおよそ3~6提出しなければならないだけではなく、

英語論文の最初の序章であるイントロダクションで”Literature Review (文献レビュー)”を書くためにインターネットで文献を検索する際に必要になります。

また、これは後程、詳しくご説明いたしますがキーワードは英語論文の骨組みの中枢の重要な役割を果たしますので今から注意してキーワードのアイデアの収集を始めましょう。

英語論文執筆の基本は他の研究者の方がジャーナルに文献として発表された内容を自分の言葉(英語)に書き換えることです。

このように他者の言葉を違うやさしいことばで「書き換える」「言い換える」ことを英語では”Paraphrase (パラフレーズ)”と言います。

英語論文のイントロダクションの大半を占めるLiterature Reviewで主に皆様が行わなければいけないことはこの「パラフレーズをする」こと、

つまり文献に書かれた情報を自分の言葉で書き換えることです。

難しい文献の内容をわかりやすい英語で書いたMedical Xpressなどに掲載された記事を読んでからジャーナルの文献を読む工程を踏むことで

ご自身が実際に英語論文を執筆される際に文献に書かれた情報を自分の言葉で書き換える上での参考が得られるでしょう。

そのため、このように難しい文献の内容をわかりやすい英語で書いたMedical Xpressなどに掲載された記事を読んでからジャーナルの文献を読んでご自身の英語論文のアイデアを膨らませる方法が特に初めて英語論文執筆に挑戦される方にお勧めなのです。

いかがでしたか?ご質問やご不明な点がございましたら以下のコメント欄にコメントしてください。

英語論文執筆のこの次のステップは「PICOで臨床疑問を設定しMeSHで英語論文のエビデンス(科学的証拠)を見つけよう!」で紹介しています。

Alternatives to many or a lot of Final (1)

英語論文にmanyやa lot of がたくさんあり過ぎる時はどうしたら良いですか?

英語論文執筆時に特に初心者の方は “Many” または “A lot of”を多く使う傾向にあります。

Manyの使用が文法的に間違っていなくてもあまり”Many”を頻発すると英語論文全体にインパクトがなく、洗練されていない印象を与えかねません。

一方 “A lot of”はジャーナルによっては受け入れられる場合もありますが、口語的過ぎる、カジュアル過ぎると言う理由で最もフォーマルなライティングの舞台である英語論文で “A lot of”が使用されることを嫌う査読者もいらっしゃるということは事実です。

恐らく何かもっと良い代替案を検討した方が安全です。

例えば、最初のイントロダクションでたくさんの研究である特定の事実が示唆されているということを書く場合、多くの初心者の方が例えば以下のような文を書かれます。

  1. Many studies suggest that the brain absorbs more information in the morning than in the evening.

多くの研究が脳は夕方よりも午前中に多くの情報を吸収することを示唆している。

  1. A growing body of evidence suggests that the brain absorbs more information in the morning than in the evening.

一連の積み重なる証拠が脳は夕方よりも午前中に多くの情報を吸収することを示唆している。

しかし、ここで“Many studies”の代わりに “A growing body of evidence”を使ってみてはいかがでしょうか?

日本語だと「一連の積み重なる証拠」という意味になりたくさんの研究結果がある特定の事実を示唆し続けていることを示すため、これから紹介される仮説などがより信頼性があるものであることをそれとなく読者に伝えることができます。

Manyやa lot ofの代替案としてざっと以下が考えられます。

A growing body of evidence 一連の積み重なる証拠
Numerous 多数の、おびただしい、大勢の
A multitude of X 多数の、多くの、大勢のX
A substantial number of かなりの数の、多くの、大勢のX
Several いくつかの、数名の
Multiple 多数の、多様な、複雑な、多くの部分からなる
A plethora of 有り余るほどの、過多の、過度の
A variety of 様々な、色々な
A wide range of 広範囲な、広範な
A large volume of data 大量のデータ
A considerable amount of evidence (量・数が)かなりの証拠

英語論文をざっとみてManyが頻発されていることに気づいたら、まず単に数が多いことを表すNumerous, A multitude of, または a substantial number ofなどで置き換えられるか考えてみてはいかがでしょうか?

3. Despite our growing knowledge, there remain numerous challenges associated with this approach.

知識が次第に積み重なっているのは事実だがこのアプローチにはまだたくさんの課題が残っている。

4.  While a multitude of strategies has been used to address this issue, studies that focused on XXX are scarce.

この課題の解決のため多くの取り組みがなされたがXXXに焦点を充てた研究は不足している。

以下はすでに冒頭でManyを使ってしまった場合などに “a substantial number of” が有用な例です。

5. Although many cases of this condition have been reported in families with established histories of XXX, a substantial number of cases are affected by environmental factors.

この症状はXXXの一定の病歴がある家系で多く見られるが、かなりの数の症例が環境要因に影響されることがわかっている。

もしA few よりは多くmany よりは少ない3~5の数の何かを表したいならseveralがベストかも知れません。

6. Several drugs are known to target G-protein coupled receptors for their therapeutic effect.

いくつかの薬がGタンパク質共役型受容体を標的化する治療効果で知られている。

ただ単に数が多いだけでなく多様性や複雑さを強調したい場合はmultipleがしっくり来ます。

7. Multiple therapeutic strategies have failed in the treatment of pancreatic cancer.

たくさんの複雑な膵がんの治療計画が失敗に終わっている。

“A plethora of”はmanyとほぼ同じ意味ですが「過度に多い」という意味合いが強くなるので必ずしもいつもmanyと置換できるとは限りませんが、文脈によっては検討する価値があるかも知れません。

8. A plethora of studies concerning XXX has overlooked YYY.

多すぎる程のXXXに関する先行研究がYYYを見過ごしてきた。

ただ単に数が多いだけでなく、その状況の多様性を強調したい場合は様々な、より多様であることを表す “A variety of”の方が適切かも知れません。

9. Regular participation in physical exercises decreases a variety of risks including depression, fatigue, obesity, and hypertension.

定期的な運動はうつ病、疲労、肥満、高血圧などの様々なリスクを軽減する。

厳密にはただ単に数が多かったと言うだけでなく広範囲にわたる効果などが認められた場合は “A wide range of”の方が良いかも知れません。

10. A wide range of pharmacological effects are observed upon treatment with statins.

広範囲にわたる薬理効果がスタチン系薬剤による治療で認められた。

最後にA lot of dataは間違いではありませんが、英語論文では口語的な表現は出来るだけ避け “A large volume of data” または “A considerable amount of data”の方が適切です。

また、DataはDatumの複数形なので基本的に複数として扱いましょう。

Considerableを使うと単に量・数がかなりであるという意味だけでなく、考慮に入れるべき、無視できない程のというニュアンスもあるので上手く使うとちょっとした言葉の選択で説得力が増すかも知れません。

11. A large volume of missing data impacted the study’s sample size.

大量な損失を被ったデータが私たちの研究のサンプル数に打撃を与えた。

 

12. Several trials have yielded a considerable amount of evidence showing the efficacy of SGLT2 inhibitors in heart failure.

いく回かの試験でナトリウム・グルコース輸送体2の心臓まひへの効能のかなりの証拠が得られた。

いかがでしたか?ご質問やご不明な点がございましたらお気軽にご連絡ください。

見事に英語論文執筆が完了されたあかつきにはリンクサイエンスの英語論文校閲サービスをお試し頂きますようお願い申し上げます。