APA7th Edition Style Quick Guide

看護学、心理学などの英語論文を書くためのAPA (American Psychological Association) 第7版スタイル簡易ガイド

目次

英語論文で最も一般的なスタイルと言えばAPAスタイルです。

APAスタイルはアメリカ心理学会 (American Psychological Association)が考案し推奨している英語論文の引用の仕方や参考文献リストの作成方法のスタイルです。 

英語論文を執筆中で最終的にどのジャーナルに投稿するかがまだ定まっておらず、引用の仕方や参考文献リストの作成方法に迷った時、皆様の分野が看護学、心理学を始めとした様々な社会科学、経営学、コンピューター科学、情報科学、電気工学なら特にAPA第7版スタイルのマニュアル(APA7th edition Manual of Style)を参照されることをお勧めします。

現在のところ2019年10月に改訂された第7版が最新版です。

 Journal of Intergenerational Relationships, Japan Journal of Nursing Science など上記の分野の多くのジャーナルがAPA第7版スタイル(APA 7th edition style)を推奨しているので博士論文をこのスタイルで書いていればある程度の微調整をするだけでジャーナルに投稿できます。

また International Journal of Nursing Studies, Social Science and Medicineなどある特定のスタイルを使用していれば特にこのスタイルで投稿しなければならないという規定がないジャーナルもあるのでその場合はこのスタイルを使用していれば国際的に幅広く使用されるスタイルなので安心です。

このAPA第7版スタイルの詳細については図書館などに出向かれアメリカ心理学会が出版しているAPA第7版スタイルのマニュアルをご覧頂くのが一番ですがここでは皆様が英語論文執筆中に参照できる内容を簡単にご紹介させて頂きます。

医学英語論文をご執筆中の方は『医学英語論文を書くためのAMA (American Medical Association) 第11版スタイル簡易ガイド』のページをご覧ください。

文書全体の基本的なフォーマット( 雛形)

英語論文に使う文書をMicrosoft ワードで以下のようにAPA第7版スタイルに設定しておきましょう。

  • Times New Romanの12 ポイントのフォントを使う。
  • 2行間に設定しパラグラフ(段落)やヘディング(見出し)の間にスペースを入れない。
  • ワードのレイアウトメニューの余白の項目へ行き、ユーザー設定の余白で上下右左の余白を全て25.4mm(1インチ)に設定する
  • パラグラフ(段落)の始めは12.7mm (0.5インチ)インデント(字下げ)する。

英語論文の本文中の直接の引用

英語論文では基本的に直接の引用、つまり他者の言葉をそのまま英語論文内にクオーテーション・マーク( “ ”)を使って引用することは好まれません。

これはAPA第7版スタイルでも同様です。

主に他著者の言葉を自分の言葉に書き換えた、つまり英語で言えばパラフレーズ(Paraphrase)された英文が英語論文の大半を占めるのが原則です。

ただし、以下のような場合には直接の引用 (Direct quote)が認められます。

  • 定義を紹介する時
  • 著者の言葉そのものをそのまま紹介し議論する必要がある時
  • 著者の言葉そのものが忘れられないほど興味深く上手く要点をつかんでいる時

定義を紹介する時

以下はバーンアウトの尺度を開発した研究者のバーンアウトの定義をAPA第7版スタイルで紹介した例です。

このように皆様の英語論文の要となる定義を紹介する場合は直接引用をするべきです。

英語論文本文中の引用

The pioneers of the burnout research, Maslach and Jackson (1981), defined burnout as “a syndrome of emotional exhaustion and cynicism that occurs frequently among individuals who do ‘people-work’ of some kind” (p.99).

バーンアウト研究の先駆者であるマスラークとジャクソンはバーンアウトを「人に関するサービス業に従事する人によくみられる精神的消耗とシニシズムを伴う症候群である」と定義した。

参考文献内の引用

Maslach, C., & Jackson, S. E. (1981). The measurement of experienced burnout. Journal of Organizational Behavior, 2(2), 99-113. https://doi.org/10.1002/job.4030020205

著者の言葉をそのまま紹介して議論する必要がある時

以下は厚生労働省が健康・医療に関する政策をまとめた『健康日本21(身体活動・運動)』で「多くの人が無理なく日常生活の中で運動を実施する方法の提供や環境をつくることが求められる」と提言を行った時の言葉をそのままクオーテーション・マークを使って直接引用した例です。

皆様が政府機関の方針として提言が行われた内容を正確に把握しそれを受けてどういった取り組みが国で行われたかについて議論を展開して行く英語論文を書かれているとしたら実際にどのような提言が行われたかをはっきりさせた方が良いのでこのような場合はパラフレーズするよりこのように直接引用した方が良いでしょう。

英語論文本文中の引用

In recent recommendations given to its citizens, the Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan (MHLW, 2021) proposed “creating an environment conducive to exercise or providing feasible methods that many citizens can easily incorporate in their daily lives, is desirable” (p.1).

厚生労働省は国民に「多くの人が無理なく日常生活の中で運動を実施する方法の提供や環境をつくることが求められる」と最近提言を行った。

参考文献内の引用

Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan. (2021). Kenko nippon 21 (Shintai katsudo undo) [Healthy Japan 21 (Physical activity and exercise)]. https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/pdf/b2.pdf

忘れられないほど興味深く上手く要点をつかんでいる時

このような事例は多くありませんが今までの概念を根底から覆すような発見があった場合に研究者本人のインパクトがある言葉そのもので一石を投じた事柄について紹介する意義がある場合にも直接引用が行われます。

このような直接引用は著者の言葉をそのまま紹介して学会全体で議論する必要がある時によく活用されます。

英語論文本文中の引用

Contrary to what has previously been believed, narcissism might arise from insecurities rather than an inflated sense of self; according to Kowalchyk et al. (2021), “narcissism per se might be inherently vulnerable—characterized by insecurities and self-elevating behavior—in nature” (p. 110780).

今まで信じられていた説に反してナルシシズムは過剰な自意識ではなく不安感から生じているかも知れない。

チャウルチックらは「ナルシズムは本来、不安感と自身を持ち上げようとする行動に特徴づけられる本質的に脆弱な気質かも知れない」と述べている。

参考文献内の引用

Kowalchyk, M., Palmieri, H., Conte, E., & Wallisch, P. (2021). Narcissism through the lens of performative self-elevation. Personality and Individual Differences, 177, 110780. https://doi.org/10.1016/j.paid.2021.110780

英語論文の本文中と参考文献内の引用

上記で紹介した特別な場合以外、英語論文を書くためには他の著者の言葉を自分の言葉に書き換えて、つまりパラフレーズして著者名を挙げて引用しなければなりません。

引用の方法は(a)の例のように著者名を主語として取り上げて引用する方法と(b)の例のように著者名をカッコ内に入れて引用する方法があります。

基本的にその著者の先行研究が皆様の研究の基盤となる程、重要であったなど、その著者名を挙げることに何らかの重要性がある場合に(a)の引用方法を使います。

DOI番号がある1名の著者のジャーナル文献

DOI番号は“Digital Object Identifier” の略で英語論文をインターネット上ですぐに特定できるデジタルID番号です。

最近出版された英語論文のほとんどにDOI番号(https://doi.org/…のリンク)が記載されているので参考文献内の引用の最後に加えるようにしましょう。

英語論文本文中の引用

(a) Beck (2021) identified specific metaphors, used by postpartum mothers, associated with panic disorder.

(b) Specific metaphors, used by postpartum mothers, are associated with panic disorder (Beck, 2021).

ベックは産後の母親のパニック障害と関連がある特定の隠喩を確認した。

参考文献内の引用

APA第7版スタイルではジャーナル名と巻名をイタリック文字(斜体)(例:Archives of Psychiatric Nursing, 35)にしますが発行番号(例:4)はイタリック文字(斜体)にしません。

Beck, C. T. (2021). Postpartum onset of panic disorder: A metaphor analysis. Archives of Psychiatric Nursing, 35(4), 369-374. https://doi.org/10.1016/j.apnu.2021.05.004

DOI番号がある2名の著者のジャーナル文献

英語論文本文中の引用

(a) Richards and Smith (2015) demonstrated that very high levels of caffeine, often found in energy drinks currently on the market, are associated with anxiety and depression, especially in males.

(b) Very high levels of caffeine, often found in energy drinks currently on the market, are associated with anxiety and depression, especially in males (Richards & Smith, 2015).

リチャードとスミスの研究は現在市場に出回っているエナジードリンクなどによく見られるような高濃度のカフェインは特に男性の不安やうつと関連があることを実証した。

参考文献内の引用

Richards, G., & Smith, A. (2015). Caffeine consumption and self-assessed stress, anxiety, and depression in secondary school children. Journal of Psychopharmacology, 29(12), 1236-1247. https://doi.org/10.1177/0269881115612404

DOI番号がある3~19名の著者のジャーナル文献

以下の(b)では英文の最後ではなく“A new scheduling model (Demir et al., 2021)”というように “A new scheduling model”のすぐ後に引用が行われています。

英文の最後ではなく“A new scheduling model”のすぐ後に引用することでこの新しいスケジューリングモデルがDemir et al.によって開発されたことがよりわかりやすくなっています。

英語論文本文中の引用

(a) A new scheduling model developed by Demir et al. (2021) substantially enhanced the efficiency of chemotherapy delivery while reducing the burden on nursing staff.

(b) A new scheduling model (Demir et al., 2021) substantially enhanced the efficiency of chemotherapy delivery while reducing the burden on nursing staff.

デミルらが開発した新しいスケジューリングモデルは化学療法の効率を実質的に改善すると同時に看護師への負担を軽減することに成功した。

参考文献内の引用

Demir, N. B., Gul, S., & Çelik, M. (2021). A stochastic programming approach for chemotherapy appointment scheduling. Naval Research Logistics, 68, 112-133. https://doi.org/10.1002/nav.21952

DOI番号がある20名以上の著者のジャーナル文献

20名以上の著者の場合は最初の19名の名前を列挙した後、…で省略し最後の著者名だけ記載して締めくくります。

参考文献内の引用

Polack, F. P., Thomas, S. J., Kitchin, N., Absalon, J., Gurtman, A., Lockhart, S., Perez, J. L., Marc, G. P., Moreira, E. D., Zerbini, C., Bailey, R., Swanson, K. A., Roychoudhury, S., Koury, K., Li, P., Kalina, W.V., Cooper, D., Frenck, R.W., Jr., Hammitt, L.L., …Gruber, W.C. (2020). Safety and efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 vaccine. New England Journal of Medicine, 383(27), 2603–2615. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2034577

日本語のジャーナル文献

日本語のジャーナルの場合は論文の日本語の表題をローマ字で記載した後、角括弧内に日本語の表題の英訳を入れます。

参考文献内の引用

Tanaka, C., & Tanaka, S. (2012). Nihonjinkinrousha no nichijou no shintaikatsudouryou ni okeru ho-soukou igai no shintaikatudou no kiyo [Contribution of non-locomotive activity to habitual physical activity in Japanese workers]. Japanese Journal of Physical Fitness and Sports Medicine, 61(4), 435-441. https://doi.org/10.7600/jspfsm.61.435 

複数のジャーナル文献の引用

英語論文の本文中に複数の著者名を引用する場合はカッコ内の著者名を例えば(Fisk, 2021; Gutiérrez-Hellín, et al., 2021; Kamijo, 2018)という風にアルファベット順に並べなければなりません。

英語論文本文中の引用

Consumption of energy drinks, especially among adolescents and young adults, has been a source of growing concern due to its increasing effect on cardiovascular risk (Fisk, 2021; Gutiérrez-Hellín, et al., 2021; Kamijo, 2018), consumption of alcohol (McKetin et al., 2015), drug use severity (Leal & Jackson, 2018; Terry-McElrath et al., 2014), risky behavior (Svensson et al, 2021; Utter et al., 2018), depression (Bonar et al., 2017; Petrelli et al, 2018; Richards & Smith, 2015) , and suicidality (Kim et al., 2020; Masengo et al., 2020).

エナジードリンクの消費は心血管系リスク、アルコール消費、重度の薬物使用、リスク行動、うつ、自殺傾向を高める効果があることから、特に青少年や若者による消費に対する懸念が近年高まり続けている。

国際機関、政府機関(団体著者)のウェブサイト上のレポート

政府機関などが団体著者の場合は最初の引用で省略形(例:CDC)を紹介し、次の引用からはその省略形を使うようにします。

英語論文本文中の引用

(a) The US Centers for Disease Control and Prevention (CDC, 2021) encourage Medium Risk Students to follow a hybrid learning model that constitutes a mixture of virtual learning and in-person learning for all courses. Furthermore, the guidelines established by the CDC (2021) recommend the institutions of higher education to apply cohorting, alternating, or staggering schedules to minimize contact, especially for courses involving laboratory instructions or with a large number of students.

(b) Medium Risk Students are encouraged to follow a hybrid learning model that constitutes a mixture of virtual learning and in-person learning for all courses (Centers for Disease Control and Prevention [CDC], 2021). Furthermore, the guidelines (CDC, 2021) recommend the institutions of higher education to apply cohorting, alternating, or staggering schedules to minimize contact, especially for courses involving laboratory instructions or with a large number of students.

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は高等教育機関において中程度リスクの学生には対面とオンラインの講義を含む混合学習モデルを全ての科目において適用することを勧めている。

また、CDCの指針によるとグループ分けやスケジュールを交互にさせたり、ずらしたりするなどの工夫をして特に実験室での実習や大人数の場合は密を避けるように推奨している。

参考文献内の引用

Centers for Disease Control and Prevention. (2021, July 23). Considerations for institutions of higher education. U.S. Department of Health and Human Services. https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/community/colleges-universities/considerations.html

同一著者の同一年のジャーナル文献の引用

英語論文本文中の引用

Due to a wide range of variability caused by under-counting or over-counting in some countries (Ioannidis, 2021a), recently generated Global COVID-19 infection fatality rate—0.15% as of February 2021—must be interpreted with utmost caution (Ioannidis, 2021b).

一部の国で起こった数え過ぎや数えそびれによる幅広い可変性を考慮すると2021年2月発表時点の0.15%というCOVID-19感染による世界的死亡率は細心の注意で解釈されなければならない。

参考文献内の引用

Ioannidis, J. P. (2021a). Over-and under-estimation of COVID-19 deaths. European Journal of Epidemiology, 36, 581-588. https://doi.org/10.1007/s10654-021-00787-9

Ioannidis, J. P. (2021b). Reconciling estimates of global spread and infection fatality rates of COVID‐19: An overview of systematic evaluations. European Journal of Clinical Investigation, 51(5), e13554. https://doi.org/10.1111/eci.13554

Jr.やIII.がつく著者のジャーナル文献

英語論文の本文中の引用には著者名にJr.やIII.などを付ける必要はありません。

英語論文本文中の引用

(a) Cioffi and Rue (1991) stressed that understanding the physiology of pulmonary insult is indispensable to improving the outcome of a thermally injured patient.

(b) Understanding the physiology of pulmonary insult is indispensable to improving the outcome of a thermally injured patient (Cioffi & Rue, 1991).

シオフィとルーは熱傷患者の治療成果を改善するためには肺損傷の生理機能に関する知見がなくてはならないと強調した。

参考文献内の引用

Cioffi, W. G., Jr., & Rue, L. W., III. (1991). Diagnosis and treatment of inhalation injuries. Critical Care Nursing Clinics of North America, 3(2), 191-198. https://doi.org/10.1016/S0899-5885(18)30730-5

一般的な書籍

参考文献内の引用

Dames, S. (2021). Root strength: a heath and care professionals guide to minimizing stress and maximizing thriving (1st ed.). Elsevier.

編集された書籍の巻

参考文献内の引用

Lloyd, R.V., Osamura, R.Y., Kloppel, G., & Rosai, J. (Eds.). (2017). WHO classification of tumours: Pathology and genetics of tumours of endocrine organs (4th ed., Vol.10). International Agency for Research on Cancer (IARC).

団体著者の編集された書籍

参考文献内の引用

WHO Classification of Tumors Editorial Board. (Eds.). (2021). Thoracic tumours: WHO classification of tumours (5th ed.). International Agency for Research on Cancer (IARC).

編集された書籍の章

参考文献内の引用

Alici, Y., Modhwadia, K., & Breitbart, W. S. (2014). Psychosocial and psychiatric suffering. In T.E. Quill & F. G. Miller (Eds.), Palliative care and ethics (pp.136-161). Oxford University Press.

参考文献リストの基本的なフォーマット(雛形)

  • ワード文書を開けてReferencesとタイプしホーム項目のフォント欄で太字(References)にし、段落欄で中央揃えにする。
  • 著者名を基に文献をアルファベット順に並べる。
  • 2行以上の文献の引用は2行目を段落欄のインデント「ぶら下げ」で12.7mm (1/2インチ)インデントする(下げる)。

いかがでしたか?APA第7版スタイルに関するご質問やご不明な点がございましたらお気軽にご連絡下さい。

英語論文執筆のこの次のステップは『Mendeleyで文献を探し整理し引用して参考文献リストを作成してみよう!』で紹介しています。

Reference

American Psychological Association. (2020). Publication manual of the American Psychological Association (7th ed.). American Psychological Association. https://doi.org/10.1037/0000165-000

Participants vs. Subjects

研究や臨床試験の参加者はParticipants それとも Subjectsと呼ぶべきですか?

もくじ

Participant(s)

“Participant(s)”は自らの意思によって研究に参加する人を表します。以下の例文のようにアンケートに記入する、インタビューで質問に答える、データの収集に協力するため大学、病院、実験室などを訪問するなどして研究者と何らかのコミュニケーションを取り研究に積極的に参加することを通して最終的な研究結果から得られる知識の形成に貢献します。

(1) A survey was distributed to individuals who identified themselves as caregivers of the bedridden older adults. The majority of participants were women (N=450, 90%) although there were responses from 50 (10%) men.

寝たきり高齢者の介護者と自称する個人にアンケートが配布された。50名の男性(10%)から回答が得られたものの、大多数の参加者は女性(N=450, 90%)であった。

(2) Before beginning the telephone interview, participants were asked to respond to questions about their sociodemographic characteristics. Male participants were more likely to decline to proceed with the interview than their female counterparts.

電話インタビュー開始前に参加者は自身の社会人口学的特性に関する質問への回答を求められた。この段階で男性参加者は女性参加者に比べて回答をより辞退しインタビューへの不参加を表明する傾向にあった。

(3) Eligible participants were adults with severe asthma and at least one hospitalization in the previous year for asthma exacerbation. All the participants provided written informed consent.

資格のある参加者は過去1年の間にぜんそくの悪化により少なくとも1回入院した経験がある重度のぜんそくを患っている成人であった。全ての参加者が書面によるインフォームド・コンセントを提供した。

Subject(s)

一方、“Subject(s)”は人またはその他の研究対象を指し、植物、鉱物などの標本や機械などを表す場合もあります。

“Subject”が人である場合は例えば乳児や子供を観察する研究であったり、人から採取した血液などの試料を使う研究などで被験者が積極的に研究・調査に参加しない状況が想定されます。

(4) Blood cells from normotensive subjects were incubated in serum under controlled temperature and moisture conditions.

正常血圧被験者の血液細胞が温度と湿度を管理した条件下の血清内で培養された。

(5) The subjects were very low birth weight (VLBW) infants within 3 d of birth from the five institutions. We received an informed consent from each infant’s mother.

研究対象は5つの機関で生まれた生後3日以内の極低出生体重児(VLBW)であった。各乳児の母親からインフォームド・コンセントが得られた。

(6) The study subjects were children aged 3-10 years on daily asthma controller medications.

被験者はぜんそくコントロール薬を日々使用している3歳から10歳までの子供たちであった。

まとめ

分野/領域によっては未だに積極的に研究や臨床試験に参加する人々を “Subject(s)”と呼んでいるケースが見られる中で、全体的なジャーナル出版の傾向としてはこのような人々を“Subject(s)”と示す事例は次第に減少しなくなりつつあるのが現状です。

主な分野ごとの現状は以下の通りです。

医学

ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(New England Journal of Medicine)、ジャーナル・オブ・パブリックヘルス(Journal of Public Health)、国際医学雑誌編集委員会(International Committee of Medical Journal Editors)、アメリカ国立衛生研究所(National Institute of Health)が運営する世界最大の臨床試験データベースであるクリ二カルトライアルズ・ドット・ガブ (Clinical Trials.gov)でも臨床試験に参加する健康な人々を全て“Participant(s)”と呼んでいます。

またアメリカ国立衛生研究所の所長であるフランシス・コリンズ博士(Francis Collins) が “Medical advances would not be possible without participants in clinical trials (臨床試験の参加者なしに医学が進歩することは不可能だろう。).” (National Institute of Health, 2014)と述べていることからもこのような “Participant(s)”の用法が適切であることがわかります。

心理学

科学的心理学会(Association for Psychological Science)の公開討論会でトロント大学名誉教授のジョン・フュレディ博士(John Furedy)が “Epistemological contribution”に関与した者のみを “Research participant(s)”と呼ぶべきであると言及しました(Furedy, 2007)。

“Epistemological contribution(認識論的な貢献)”と言うと難しく聞こえますがわかりやすく言えば上記で述べたようにアンケートやインタビューの質問に回答して積極的に研究に参加することを通して最終的な研究結果から得られる知識の形成に貢献することです。

これを受けてアメリカ心理学会(American Psychological Association)のトップジャーナルでは英語論文審査において“Participant(s)” と“Subject(s)”の区別をはっきりさせるように求めるようになりました。

獣医学

獣医学の場合はほとんどが動物になるので“Participant(s)”が使われることはなく、Subject(s)が使われることも滅多になく、ほとんどは具体的な動物の名前、例えばPigs/horses/miceと示されるか、“Experimental animal(s)” が使われます。また、臨床研究の場合は通常 “Patient(s)”と表されます。

(7) The experimental animals were 10-year-old pigs. We performed an experiment after obtaining written informed consent from the owners.

実験動物は10歳の豚であった。署名によるインフォームド・コンセントを飼い主から取得後、実験を行った。

(8) During anesthesia, the patient showed a favorable therapeutic response.

麻酔中に患者は良好な治療反応を見せた。

いかがでしたか?ご質問やご不明な点がございましたらお気軽にご連絡下さい。

また、参加者の方の性別の表記の仕方に関しては「英語論文で被験者の性別について表したい時、GenderとSexのどちらを使うべきですか?」のポストをご覧ください。

References

Furedy, J. (2007, September 1). Subjects vs. participants. APS Observer, 20(8). https://www.psychologicalscience.org/observer/subjects-vs-participants

National Institute of Health. (2014, November 19). HHS and NIH take steps to enhance transparency of clinical trial results. U.S. Department of Health and Human Services. https://www.nih.gov/news-events/news-releases/hhs-nih-take-steps-enhance-transparency-clinical-trial-results