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初めての英語論文の執筆で実際のところ何をすれば良いかがわかりません

初めて英語論文の執筆に挑戦される方は実際のところ何をすれば良いかがはっきりしないことが原因で不安を抱えていらっしゃる方が多いように感じます。

初めて英語論文執筆に挑戦されるの方は果てしなく長い茨の道へ足を踏み入れているように感じられるかも知れませんが英語論文を書くことは簡単に言えば皆様の分野の知識の基盤の上に新しい知識を積み重ねて行くことです。

今、皆様が関心を持たれているある特定のテーマに対して、今までの研究で既にわかっていることがある。

でも、まだわかっていないこともある。

英語論文執筆はまずその先行研究でわかっていることとまだ、わかっていないことをはっきりさせるところから始まります。

これが英語論文の最初の序章、イントロダクションで最初にやらなければならないことです。

例えば先行研究でビタミンD不足とコロナウィルスの死亡率に関連があることがわかっているとします。

でも、どのようなビタミンDの摂取方法がコロナウィルスによる死亡率を軽減できるかについてわかっていないとすれば…

そのまだわかっていない部分、

つまりどのようにビタミンDを摂取すればコロナウィルスによる死亡率を軽減できるかを明らかにすることが皆様の研究の目的となるでしょう。

このように今までの先行研究でわかっていることとわかっていないことをはっきりとさせて、

何がわかっていないかをより明確にし、

その先行研究ですでにわかっている事柄とまだわかっていな い事柄の間の知識のギャップを埋める

それが皆様がこれから執筆される英語論文で果たすべき任務なのです。

つまり、英語論文を書くにはある特定のテーマに関して何がわかっているのかをまずはっきりさせなければなりません。

そのためそのテーマに関する文献をたくさん集め、読み、先行研究で裏付けられた証拠を論理的な話の流れに沿う順序に並べることから英語論文の作成は始まります。

英語論文は (1)序章 “Introduction”, (2)方法 “Methods”, (3)結果 “Results”, (4)考察 “Discussion”の4つの項目から構成されており

その構造はそれぞれの項目の頭文字を基に “IMRaD (イムラッド)”とよく称されます。

最初に先行研究で裏付けられた証拠を基に論理的な流れに沿って今までこのテーマについておおよそわかっていることは何かを紹介する英語論文のイントロダクションの一部分を

日本語では「文献レビュー」

英語では “Literature Review”と呼びます。

この“Literature Review”の部分が英語論文の最初の項目であるイントロダクションの大半を占めます。

ちなみに一般社会で “Literature”と言うと通常は「英文学」を表しますが

英語論文の世界では“Literature”は「先行研究が掲載された文献」を表します。

イントロダクションではこのテーマについてこの部分はわかっているのにこの事についてはまだわかっていない。

しかし、こういった理由でこの事を明らかにすることが重要であることを述べて研究の目的を紹介した後、

具体的に自分の推測を試すとどうなるかに関する仮説を紹介します。

メソッズでは自分の立てた仮説が正しいかどうかを検証するために使われた方法、手順について説明します。

具体的には被験者の特徴、データの採取方法、使われた器具や手順、統計分析方法などについて述べます。

リザルツでは仮説を検証して出た結果を自分なりの解釈を一切入れずに事実のみ淡々と報告します。

最後のディスカッションではリザルツで明らかになった結果が何を意味するのか自分なりの解釈を述べた後、

今後、今回の研究で明らかにされた結果が一般社会や学術界にどのような影響を与えるかに関する未来の展望を述べ次の研究課題を提案します。

つまりこれは何から始めて良いか、まだテーマもはっきりしていない場合はまずご自身の分野の英語論文のディスカッションの最後の部分を読んでみると次の研究課題が提案されているので何か良いアイデアが浮かぶかも知れません。

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New vs. Novel

英語論文で”New”と”Novel”はどのように使い分ければ良いのですか?

“New”は最近発見されたり/つくられたりして単に「新しい」ことを表す一般的な語である一方で “Novel”は、独創的で、創意に富み、何か興味深い、斬新さがあることを表します。

そのため、特に今後この新しい発見、研究、治療法などが新分野を開拓することや研究の突破口を開くことに繋がるような重大なものである時や皆様の発見が他と違う今までにない独創性に富んだ競争力がありそれを強調したい時にはあえて “novel”を使われた方が良いでしょう。

以下の例文では分類方式がただ単に以前のものと対比して最近つくられたものであることを表しているだけなので “new”が使われています。

The new system of classification for psychotropic drugs was developed by the Neuroscience‐based Nomenclature (NbN) and adapted by a number of renowned journals.

向精神薬の新しい分類方式が神経科学に基づく専門語(NbN)により開発されいくつかの有名なジャーナルで適応されている。

また、以下の例文のように最近開発された薬剤や分類を前からあるものと区別したい時に “new”が使われる傾向にあります。

 

a new drug has been introduced in the ACE inhibitor drug class.

新しい薬がACE阻害薬の薬剤分類に導入された。

 

Ertugliflozin is the newest member of the SGLT2 inhibitor.

エルツグリフロジン(ステグラトロ)は最も新しいSGLT2阻害薬である。

 

a new extended-release formulation has been introduced.

新しい持続放出性処方が導入された。

 

一方、 以下の例文ではこの治療法が新境地を開き良い結果につながるのではないかというワクワクとした期待感もあるので “Novel”が適切でしょう。

This novel treatment technique is likely to favorably alter the course of Parkinson disease.

この斬新な治療法はパーキンソン病の経過を好転させる可能性が高い。

 

そして独創性があり、斬新で、真新しい創意に富んでいる何かがある場合に以下のように “Novel”が使われます。

 

SGLT2 inhibitors are a novel drug class in the treatment of heart failure.

SGLT2阻害薬は心不全の治療に使われる目新しい薬剤分類である。

 

CAR-T is a novel approach to treating cancer.

CAR-T細胞療法は斬新ながんの治療法である。

 

Atopic dermatitis is a novel indication for the use of Omalizumab.

アトピー性皮膚炎はオマリズマブ使用の目新しい症状である。

 

Inhalation is a novel route of delivery of this drug.

吸入はこの薬の伝達の目新しい経路である。

 

しかし、“New”と“Novel”は類義語であるため英語論文の文脈によっては交互に入れ替えても全く問題ない場合もあります。ただ、もし皆様が斬新な創造性や独創性を強調されたい場合は“Novel”はご検討の余地があります。

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Alternatives to many or a lot of Final (1)

英語論文にmanyやa lot of がたくさんあり過ぎる時はどうしたら良いですか?

英語論文執筆時に特に初心者の方は “Many” または “A lot of”を多く使う傾向にあります。

Manyの使用が文法的に間違っていなくてもあまり”Many”を頻発すると英語論文全体にインパクトがなく、洗練されていない印象を与えかねません。

一方 “A lot of”はジャーナルによっては受け入れられる場合もありますが、口語的過ぎる、カジュアル過ぎると言う理由で最もフォーマルなライティングの舞台である英語論文で “A lot of”が使用されることを嫌う査読者もいらっしゃるということは事実です。

恐らく何かもっと良い代替案を検討した方が安全です。

例えば、最初のイントロダクションでたくさんの研究である特定の事実が示唆されているということを書く場合、多くの初心者の方が例えば以下のような文を書かれます。

  1. Many studies suggest that the brain absorbs more information in the morning than in the evening.

多くの研究が脳は夕方よりも午前中に多くの情報を吸収することを示唆している。

  1. A growing body of evidence suggests that the brain absorbs more information in the morning than in the evening.

一連の積み重なる証拠が脳は夕方よりも午前中に多くの情報を吸収することを示唆している。

しかし、ここで“Many studies”の代わりに “A growing body of evidence”を使ってみてはいかがでしょうか?

日本語だと「一連の積み重なる証拠」という意味になりたくさんの研究結果がある特定の事実を示唆し続けていることを示すため、これから紹介される仮説などがより信頼性があるものであることをそれとなく読者に伝えることができます。

Manyやa lot ofの代替案としてざっと以下が考えられます。

A growing body of evidence 一連の積み重なる証拠
Numerous 多数の、おびただしい、大勢の
A multitude of X 多数の、多くの、大勢のX
A substantial number of かなりの数の、多くの、大勢のX
Several いくつかの、数名の
Multiple 多数の、多様な、複雑な、多くの部分からなる
A plethora of 有り余るほどの、過多の、過度の
A variety of 様々な、色々な
A wide range of 広範囲な、広範な
A large volume of data 大量のデータ
A considerable amount of evidence (量・数が)かなりの証拠

英語論文をざっとみてManyが頻発されていることに気づいたら、まず単に数が多いことを表すNumerous, A multitude of, または a substantial number ofなどで置き換えられるか考えてみてはいかがでしょうか?

3. Despite our growing knowledge, there remain numerous challenges associated with this approach.

知識が次第に積み重なっているのは事実だがこのアプローチにはまだたくさんの課題が残っている。

4.  While a multitude of strategies has been used to address this issue, studies that focused on XXX are scarce.

この課題の解決のため多くの取り組みがなされたがXXXに焦点を充てた研究は不足している。

以下はすでに冒頭でManyを使ってしまった場合などに “a substantial number of” が有用な例です。

5. Although many cases of this condition have been reported in families with established histories of XXX, a substantial number of cases are affected by environmental factors.

この症状はXXXの一定の病歴がある家系で多く見られるが、かなりの数の症例が環境要因に影響されることがわかっている。

もしA few よりは多くmany よりは少ない3~5の数の何かを表したいならseveralがベストかも知れません。

6. Several drugs are known to target G-protein coupled receptors for their therapeutic effect.

いくつかの薬がGタンパク質共役型受容体を標的化する治療効果で知られている。

ただ単に数が多いだけでなく多様性や複雑さを強調したい場合はmultipleがしっくり来ます。

7. Multiple therapeutic strategies have failed in the treatment of pancreatic cancer.

たくさんの複雑な膵がんの治療計画が失敗に終わっている。

“A plethora of”はmanyとほぼ同じ意味ですが「過度に多い」という意味合いが強くなるので必ずしもいつもmanyと置換できるとは限りませんが、文脈によっては検討する価値があるかも知れません。

8. A plethora of studies concerning XXX has overlooked YYY.

多すぎる程のXXXに関する先行研究がYYYを見過ごしてきた。

ただ単に数が多いだけでなく、その状況の多様性を強調したい場合は様々な、より多様であることを表す “A variety of”の方が適切かも知れません。

9. Regular participation in physical exercises decreases a variety of risks including depression, fatigue, obesity, and hypertension.

定期的な運動はうつ病、疲労、肥満、高血圧などの様々なリスクを軽減する。

厳密にはただ単に数が多かったと言うだけでなく広範囲にわたる効果などが認められた場合は “A wide range of”の方が良いかも知れません。

10. A wide range of pharmacological effects are observed upon treatment with statins.

広範囲にわたる薬理効果がスタチン系薬剤による治療で認められた。

最後にA lot of dataは間違いではありませんが、英語論文では口語的な表現は出来るだけ避け “A large volume of data” または “A considerable amount of data”の方が適切です。

また、DataはDatumの複数形なので基本的に複数として扱いましょう。

Considerableを使うと単に量・数がかなりであるという意味だけでなく、考慮に入れるべき、無視できない程のというニュアンスもあるので上手く使うとちょっとした言葉の選択で説得力が増すかも知れません。

11. A large volume of missing data impacted the study’s sample size.

大量な損失を被ったデータが私たちの研究のサンプル数に打撃を与えた。

 

12. Several trials have yielded a considerable amount of evidence showing the efficacy of SGLT2 inhibitors in heart failure.

いく回かの試験でナトリウム・グルコース輸送体2の心臓まひへの効能のかなりの証拠が得られた。

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What is an ORCID_ FIN

ORCID iDとは何ですか?

ORCID iDとはOpen Researcher and Contributor IDの略で簡単に言えば、研究業績書と履歴書にリンクした国際学術界標準の研究者の個人デジタルID番号です。

Allan Lichtman 2020

1984年から米大統領選の結果をほぼ毎回的中させた「予言教授」が予測する2020年の勝者は?

皆様はワシントンDCにあるアメリカン大学のアラン・リクマン先生(Allan Lichtman)をご存知でしょうか?

リクマン先生は1984年より9回あったアメリカ大統領選挙の結果を8回も的中させたことから “Prediction Professorー予言教授”のニックネームで知られる今最も注目されている政治史学者の一人です。

2012年にヒラリー・クリントン氏が世論調査でも明らかに優位とされ、CNNなどの主要メディアもクリントンの勝利を確定的だと断言していた中でも、リクマン先生はかたくなにトランプ氏が勝つとの予測を最後まで曲げず皆を驚かせました。

日本国内の方を含む様々な専門家がReal Clear Politics.comなどの世論調査の結果、日々何人演説会に人が集まっていたか、候補者の経験、主義主張などを基に色々な予測を立てる一方で、リクマン先生はこれらのもっともらしい要素には全く目もくれず、自身が生み出した“13 Keys to the White House” つまり「13の鍵となる要因」の答えがYESかNOかで勝者を予測すると言うのです。

そしてこのリクマン先生の分析システムではその13の鍵となる要因への答えのうち6以上がNOだと恐らく現職大統領、つまりトランプ大統領が負ける可能性が高くなると判断します。

11月の大統領選に向けネット上にはLichtman2020.comというサイトが開設され2~3か月ごとに「13の鍵となる要因」でトランプ大統領(赤色の象のマークの共和党)が優勢かそれともバイデン氏(青色のDのマークの民主党)が優勢かの予測が更新されているようです。

アラン・リクマン先生が予測に活用する13の要因の詳細と2020年6月1日時点の分析結果は以下の通りです。

1. 政策を実施する権限が強いか?

中間選挙後、米国議会の下院に現職大統領の所属する党の議席が中間選挙前よりより多くあるかで判断します。

NO

2. 党内での指名争いがほとんどないか?

YES

3. 所属している党から現職大統領が出ているか?

YES

4. 強力な第3党の候補者が存在しないか?

YES

5. 短期的な経済指標

選挙キャンペーン期間中に不景気ではないか?

NO

6. 長期的な経済指標

現職大統領の任期中の一世帯当たりの実質経済成長が前2期の平均成長率と同じまたはそれ以上である。

NO

7. 国家の方針に対する現政権の影響力が強いか?

YES

8. 社会不安がないか?

NO

9. 現政権にスキャンダルが無いか?

NO

10. 外交・軍事的失態が無いか?

パールハーバーに攻撃を受けるなどの目立った大きな失態を指す。

YES

11. 外交・軍事的成功があるか?

戦争に勝つなどの派手な成功を指す。

NO

12. 現職大統領はカリスマ性がある国民的ヒーローか?

YES

13. 現職大統領に対抗する候補はカリスマ性がある国民的ヒーローか?

YES

要因1の政策を実施する権限が強いか?がNoになった要因は共和党が2018年の中間選挙で米国議会の下院の議席を失ったことが響いた結果です。

コロナの影響で短期的経済指標(5)にも長期的経済指標(6)にも暗い影がのしかかり社会不安(8)が蔓延しています。

また、ロシア疑惑や弾劾など数々のスキャンダル(9)がありました。

11に関しては金正恩朝鮮労働党委員長と何回か会談を行ったもののこれと言った成果が得られていないことが考えられます。

1月の選挙まであと5か月ばかりになった6月1日時点で上記の図でご覧頂けるようにこの実績のある予測システムの13の要因のうち、6項目がトランプ大統領にとってNOと判断されており、これから政情が刻々と変化するとはいえ、現時点でトランプ大統領の再選はかなり危ないギリギリの状況にあることが見受けられます。

5月26日の虎ノ門ニュースを見て「日本国紀」を書いた小説家で歴史に詳しい百田尚樹先生が日本でのコロナウィルスの緊急事態宣言解除の時期の予測を的中させていることを知りました。

リクマン先生にしても百田先生にしても統計や経済の先生よりこれらの歴史に詳しい先生方が一番予測を的中させていることを目の当たりにして“History repeats itself―歴史は繰り返す”という諺を思い出し歴史から学び歴史を参考にすることの意義について再認識した今日この頃です。

皆様は今年の米大統領選やリクマン先生の予測システムについてどう思われますか?コメントして頂ければ幸いです。

【情報源】

Lichtman 2020.com. (2020, June). 13 key predictions. https://www.lichtman2020.com/keys

Lichtman, A. J. (2012). Predicting the next president: The keys to the White House. Lanham, Maryland: Rowman & Littlefield.

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人への初回投与試験でコロナ・ウィルスのワクチンから安全で速い防御免疫応答が得られることが判明: Lancet に論文が発表される

第1相臨床試験において新しく開発されたワクチンが人間のSARS-CoV-2に対して安全で十分な耐容性を示した防御免疫応答をしたことを報告する論文がLancetに5月22日に発表されました。

Lancetに出版されたこの論文へのリンク

https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S0140-6736%2820%2931208-3

108名の健康な大人に行われたオープンレーベル試験ではワクチン投与から28日後も問題がないことがわかっています。

最終的な結果はこれから6か月後に行われる評価を見なければわかりませんが、今後いくつかの人への投与試験を経てコロナ・ウィルスを効果的に防げる安全なワクチンが世に出る日が近づいていることが期待できるニュースです。

【情報源】

Zhu FC, Li YH, Guan XH, et al. Safety, tolerability, and immunogenicity of a recombinant adenovirus type-5 vectored COVID-19 vaccine: a dose-escalation, open-label, non-randomised, first-in-human trial. [published online ahead of print May 22, 2020]. Lancet. doi:https://doi.org/10.1016/S01406736(20)31208-3