Gender vs. Sex

英語論文で被験者の性別について表したい時、GenderとSexのどちらを使うべきですか?

男性、女性という性別を表す時、日本語では「性別」という語しかありませんが、英語ではgenderとsexの両方がありどちらを使うか迷われる方もいらっしゃると思います。

また、中には同じ英語論文の中で時にはgenderと書かれていたりsexと書かれていたりして全く統一されていない英語論文を拝見したこともあります。

こういった場合も英語論文で検討された課題に応じてgenderかsexかどちらかに統一するべきです。

性別を表す時genderを選ぶかsexを選ぶかの基準は実は簡単です。

社会文化的な観点から性別について考えある特定の役割や行動に言及する時はgenderを使い、生物学的な観点から性別を検討した場合はsexを使います。

つまりこの分野の英語論文はgenderでこの分野はsexというようにはっきりと線引きできるわけではなく、英語論文の中で検討された課題の内容により判断されるべきです。

例えば同じ医学系の分野でも遠隔医療システムに関する患者さんの姿勢について検討した研究なら恐らく社会文化的な観点が重要になるのでgender、またホルモンとがん治療の関係について検討した研究なら生物学観点からの検討なのでsexが適切になるでしょう。

Genderを使った場合は必然的に男性、女性を表す時 はMan, Womanを使い、Sexを使った時はMale, Femaleを使うようになります。

ただし、 “Male patient” “Female student”など形容詞+名詞からなる名詞句の場合は社会文化的観点からか生物学的観点からかに関係なく “Male”または “Female”が形容詞として以下の例文のように使われます。

(1) A survey was distributed to individuals who identified themselves as caregivers of the bedridden older adults. The majority of participants were women (N=450, 90%) although there were responses from 50 (10%) men.

寝たきり状態の高齢者の介護者と自称する個人にアンケートが配布された。50名の男性(10%)から回答が得られたものの、大多数の参加者は女性(N=450, 90%)であった。

(2) Before beginning the telephone interview, participants were asked to respond to questions about their sociodemographic characteristics. Male participants were more likely to decline to proceed with the interview than their female counterparts.

電話インタビュー開始前に参加者は自身の社会人口学的特性に関する質問への回答を求められた。この段階で男性参加者は女性参加者に比べて回答をより辞退しインタビューへの不参加を表明する傾向にあった。

(3) Anti-Müllerian hormone (AMH) is a protein hormone that plays a pivotal role in male sex differentiation and female reproductive development.

アンチミューラリアホルモン(AMH)は男性性分化や女性生殖の発達に極めて重要な役割を果たすタンパク質ホルモンである。

ちなみに患者さんの意見、姿勢、見解、感じ方について検討した調査について書かれる場合、単に「意見」 “Opinion”と書かれる方もかなりいらっしゃいますが、恐らくこういった調査に関するほとんどの研究の事例で “Attitude” (態度、姿勢、考え、意見、心構え)や “Perception”(物の見方、認識、感じ方)という語を選択された方が適切でしょう。

“Opinion”という語は単なる「意見」を表す狭い意味の語です。また、“Opinion”から発展した “Opinionated”という語が「自分の説を曲げないつむじ曲がり」を表す時に使われるだけあり、“Opinion”には一歩間違うとマイナスな含意があるのです。

一方、 “Attitude”だとただ単に人が持つはっきりとした意見だけでなくより大きな姿勢や感じ方など漠然とした細かい部分まで検討したことが伝わります。

また、 “Perception”は一人一人ある特定の事柄に対する感じ方、捉え方が違うところをしっかりと検討したことを強調したい時に役立つでしょう。

考え方としてはいくつかの “Perception”が “Attitude”に発展しそれがある特定の事柄に対する “Opinion”として固まるという流れになりますが、ほとんどの意識調査ではまだ、被験者の方が実際にある特定の事柄、例えば遠隔医療に十分な経験を持っていない場合が多く “Opinion”として固まっていない場合がほとんどであるからです。

研究や臨床試験の参加者の呼び方に関しては『研究や臨床試験の参加者はParticipants それとも Subjectsと呼ぶべきですか?』のポストもご覧ください。

いかがでしたか?ご質問やご不明な点がございましたらお気軽にご連絡下さい。

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